暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
脱走
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と、一メートルほどの高さの柱のようなものが並んでいた。

視界に動くものがないのを確かめ、アスナは恐る恐る内部へ歩を進める────寸前で、ワンピースのスカートの裾が引っ張られるのを感じた。

驚いて後ろを見ると、真っ白な髪を持つ少女が見開いた目を片手で覆い、ガタガタと激しく震えていた。

「ま、マイちゃん!?どうしたの!!」

声を潜めるのも半ばだけ忘れ、アスナはその華奢な両肩に手を置いて問い詰める。

マイはしばらく震えていたが、目を覆っていた手の人差し指を向き合うアスナの後方を力なく指差した。

その、まだ小さく震えている細い指の先を首を巡らしながら追うと、指は真っ直ぐ部屋の中央に屹立する巨大な柱を指していた。

「あれ……」

「あれ?あれがどうかしたの?」

「あれが………なんで、ここに……」

軽い混乱状態にあるマイを必死になってなだめながら、アスナは再度巨大な柱を凝視した。

しかし、何せこれほど巨大な空間だ。中央との距離もかなりあって、解像度もギリギリだった。せいぜい光の度合いから、それがガラス製で内部に緑色の液体が満たされている事くらいしか判らない。

しばらく躊躇した後、マイの手を引いて内部へと歩を進めた。

床面から、アスナの胸あたりの高さまで白い円柱が伸びている。

太さは両手でどうにか抱えられるほどだ。平滑なその上面に、僅かな隙間を空けて何かが浮かんでいる。

それは、どう見ても────

人間の脳髄だった。

サイズは実物大だが、色合いはリアルなものではない。青紫色の半透明素材で構成されている。オブジェクトとしては非常に精緻で、ホログラフというよりは、サファイアを加工した彫像のように見えた。

趣味の悪いそのオブジェが内蔵されている柱達から、半ば強引に目線を合わせないようにしながら、アスナ達は一歩、また一歩と歩を進める。

やがて、部屋の中央に辿り着いたアスナとマイが見た物は────



緑色の液体の中に浮かぶ、バランスボール大の巨大な眼球だった。



ソレを声もなく見る二人の後ろから、何の前触れもなく、どこか爬虫類を思わせる声が────

「おやおや、小鳥ちゃん達が檻を脱走して、こんな所までやって来ているとはねぇ」

響き渡った。
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