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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第11話:作戦準備
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「偵察だと? どのように?」

わずかにその両目に険しい光を浮かべたグライフに問われ、
ミュンツァーはついさっきゲオルグから聞かされたばかりの案を話す。

「・・・という具合です」

「なるほどな。 それはヒルベルトの案か?」

「いえ、シュミットの案です」

「シュミットが?」

意外そうな表情を浮かべたグライフは、腕組みをしてミュンツァーを見る。

「まあ、偵察に関しては許可する。 それよりも、その案をシュミットが
 考え付いたというのは本当か? にわかには信じられんのだが」

「2つ目の話がそれに関連します。
 実は、先ほど述べた案はB分隊のルッツ曹長の案なのです」

「ルッツ曹長・・・」

グライフは呟くように言うと、何かを思い出そうとするようにその視線を
宙にさまよわせる。
しばらくして、"あぁ"と言いながら頷いた。

「情報部から来たあいつか。 納得だな」

「ええ、それは。 ですが・・・」

「なんだ?」

語尾を濁すミュンツァーをグライフは怪訝な表情で見る。

「ルッツがこの艦の魔導師隊に配属される際、私はそのことを聞かされて
 いないのですが・・・、なぜでしょう?」

「そうだったか?」

「そうです!」

ミュンツァーにしては珍しく、噛みつくような口調でグライフに詰め寄る。
意外に思ったグライフは気圧され、わずかにその上体をそらした。

「ルッツが情報部所属だったと知ったのも、さっき彼の人事記録を見直した時です。
 なぜ隊長である私にも知らされていなかったのか不思議なのです」

「まあ、少し待て」

グライフはそう言うと、自分の机の上に置かれていた端末を引き寄せ
なめらかな手付きで操作する。
やがて、グライフの手が止まり、その口から大きなため息が漏れる。

「どうしたのですか?」

グライフの手元にある端末の中身が気になったミュンツァーは
そっとグライフの方へと歩み寄る。
だが、その気配を察知したグライフは端末をパタンと閉じた。

「悪いがその理由は話せん。 私には権限がない」

「艦長にもですか?」

目を丸くしたミュンツァーに向かってグライフは小さく頷く。

「ああ。正確には知る権利はあっても他人に話す権限は私にはない」

「ということは、これ以上お尋ねしても無駄・・・と」

「そういうことだ。 すまんな」

「いえ・・・、私の方こそ申し訳ありませんでした」

ミュンツァーはすまなそうな表情で頭を下げると、艦長室を出ていく。
その背中を見送り、扉が閉じられるのをぼんやりと見ていたグライフは
一人きりとなった部屋の中で、大きなため息をひとつつき、
再び端末を開いてルッツの人事記録を眺
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