暁 〜小説投稿サイト〜
とある星の力を使いし者
第96話
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
麻生の拳と男の拳がぶつかり合う。
ビリビリビリ、と空気が震える。
互いに拮抗していたが、麻生が押し負けてしまい部屋の外まで吹き飛ばされる。
男と何度も拳をぶつけているので部屋はほぼ崩壊しており、天井も衝撃波で吹き飛んで太陽の光が入り込んでいる。
麻生は能力で身体の傷と拳の骨のひびを治しながら、ゆっくりと立ち上がる。

(くそ、ついて行くだけで精一杯だなんてな。)

内心、舌打ちをしながら視線を上げる。
その先にはさっきの嬉しそうな表情はどこへ行ったのか、少し退屈そうな顔をしながら麻生を見下ろしていた。

「よもや、それが限界とは言うまいな?
 だったら失望したぞ、星の守護者。」

「生憎、まだ準備運動だ。」

麻生のこの発言は嘘だ。
さっきも麻生が感じたとおり、ついて行くだけで精一杯な状況だ。
麻生の嘘を見破っているのか、依然と表情を変えずに男は言う。

「なら、もう少し速度を上げよう。」

瞬間、男の姿が消える。
周囲に探知結界を広げ、自身の直感を使い後ろから迫ってくる拳を紙一重でかわす。
そのままカウンターの要領で、右足で回し蹴りを男の顔面に向かって繰り出す。
男はそれを片手で受け止めると、こちらもカウンター返しの要領で空いている左手で麻生の背中の殴りつける。
ミシミシ、と骨が軋む音が聞こえ、やがてゴキ!と骨が折れる音が響く。

「うん?」

男の手の感覚に違和感を感じ、首を傾げる。
確かに骨を折った手応えは感じたのだが、何かおかしいと感じたのだ。
男は数えきれないくらい、その拳で人を殺めている。
なので、骨を折った感触など嫌でも分かってしまう。
すると、麻生の身体が徐々に溶け始める。
それを見て男はようやく気付いた。

(変わり身!?)

それと同時に後ろから巨大な魔力を感じた。
麻生の変わり身をそこら辺に投げ捨て、後ろを振り向く。
後方、二〇メートル後ろでは麻生が赤い槍を片手に持ち、男に向かって投げのモーションに入っている所だ。
その槍は螺旋のように絡み合い、先端部分は二つに分かれてた真っ赤な槍だ。
麻生はその真名を解放する。

神殺しの槍(ロンギネス)!!」

その言葉に呼応するように真っ赤に輝くと、男に向かって投げつける。
あの身代わりはこの槍を創り、真名解放する為の時間を稼ぐための囮だったのだ。
神殺しの槍(ロンギネス)は真っ直ぐ、男に向かって飛んでいく。
それを見た男は何故か笑みを浮かべた。
右手を腰の位置まで移動させ、手を開く。
すると、空間が歪み、そこから刀の柄が出てくる。
それを素早く取り出し、神殺しの槍(ロンギネス)に向かって一閃する。
神殺しの槍(ロンギネス)は男の身体に触れる事なく真っ二つに切断される。
中に凝縮
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ