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銀河英雄伝説〜悪夢編
第三十四話 擂り潰してやるさ
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「相手の姓名、役職、爵位は正しく言わないと失礼ですよ。それに爵位の偽称、僭称は犯罪です。重罪ですよ、これは」
「……」
あらあら皆黙り込んじゃった。まあからかうのはここまでにしておくか。

「解放しますからガイエスブルク要塞に戻りなさい」
俺の言葉に八人が顔を見合わせた。
「嬲るのか、我々を」
「そんな事はしませんよ、フォン・ヒルデスハイム。帰すと言ったら帰します。連絡艇を用意しますのでそれで戻ると良いでしょう」
フォン・ヒルデスハイムと言ったら嫌な顔をしたな。でも帰すと言った事については信じられないといった顔をしている。

「我々は軍人なんです、非戦闘員を殺す様な事はしません。ガイエスブルク要塞に戻るのですね」
「非戦闘員? 我々を侮辱するのか!」
今度はカルナップ男爵だ。こいつも顔を真っ赤にしている。

「レンテンベルク要塞で戦ったのはオフレッサー上級大将でしょう。卿らが戦ったと言う報告は聞いていません」
「……」
俺は嘘を言っていない。装甲服を着用しての戦闘は酷く辛い。装甲服の中は三十度以上有る。一度着用すると汗やかゆみ、排泄の困難を防ぐ事が出来ないから着用時間は二時間が限界だ。おまけに白兵戦ともなればトマホークで殺し合いをする。

そんな辛い戦闘を貴族のボンボン共が出来るわけがない。こいつ等は俺達に攻め込まれて震えあがって隠れていたのだ。核融合炉を制圧されてこれ幸いとばかりに降伏した。フレーゲルとシャイドは例の事件があるから戦おうとしたらしいが他の六人に馬鹿な事はするなと取り押さえられたらしい。メックリンガーとヴァレリーが連中を冷たい目で見ている訳はこいつらがオフレッサーだけに戦わせたからだ。

「ガイエスブルク要塞に戻りなさい。非戦闘員と言われた事が不満なら次は戦闘員として戦場に出てくれば良いでしょう」
「……」
誰も喋らなかった。俺を睨んではいたが内心では助かったとも思っていただろう。特にフレーゲルとシャイドはな。

八人が艦橋から出て行くのを見送った。ここに来る時には足取りが重かった、だが今は軽い。助かった事が嬉しいのだろう。腹立たしい事だ、本当ならこの場で殺してやりたい。フレーゲルとシャイド、お前達二人だけでも殺してやりたい。

俺に大怪我を負わせた、そしてリューネブルクの命を奪った。お前達は絶対許さない。だがな、ただ殺すだけじゃ満足できないんだよ。どうしようもない愚か者として後世まで汚辱にまみれさせてから殺してやらないと満足できないんだ。だからガイエスブルク要塞に戻してやる。

オフレッサーは裏切り者として殺された、狙い通りだ。そしてお前達がガイエスブルク要塞に戻ればブラウンシュバイク公とリッテンハイム侯は自分達が嵌められた事に嫌でも気付くだろう。そして戻ってきたお前達を疎むに違い
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