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銀河英雄伝説〜悪夢編
第二十八話 当代無双の名将? 誰の事だ?
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名将か。……しかし軍務尚書、このままでは宇宙艦隊はあの男の私兵同然になるのではないか?」
「……」

また沈黙が落ちた。確かに宇宙艦隊におけるヴァレンシュタインの影響力は大きい。反乱軍に対して鮮やかな勝利を収めた今、その影響力はさらに拡大するだろう。将兵達は勝てる指揮官を望み尊崇するものだ。そこには平民、貴族の区別は無い……。
「メルカッツ一人では勝てぬかな? ヴァレンシュタインが居なければ無理か?」

どうだろう、負けるとは思わないが時間がかかるのではないだろうか? シュタインホフ元帥に視線を向けたが彼も難しい表情をしている。しかし国務尚書の危惧も分からないでは無い……。
「しかし総参謀長から外すと言っても次のポストは何処にします? なかなか難しいと思いますが……」
シュタインホフ元帥の指摘に唸り声が起きた。確かに難しい、軍務次官か統帥本部次長くらいしか思いつかない。

「内乱が終わるまでは現状のままが宜しいかと思います。下手に組織を弄りますと混乱しかねません。それでは貴族達を喜ばせるだけです。先ずは勝つ事を優先させるべきでしょう」
「……」
私の言葉にシュタインホフ元帥が頷く、少し置いて国務尚書が“そうするか”と言って不承不承頷いた……。

「では陛下がお亡くなりになった事は何時発表されますか?」
「ふむ、反乱軍が撤退した後だな。それ以上は隠す理由が無いからの」
確かに、必要以上に隠すのは痛くも無い腹を探られることになるだろう。
「では宇宙艦隊が戦闘終結、勝利宣言を出した後という事で」
「うむ」

それで良いかというようにシュタインホフ元帥が視線で問い掛けてきた。妥当な判断だな、それ以前では反乱軍に変な勘違いをさせかねない、再侵攻等という事があってはならん。……それにしてもオーディンでは殆どの貴族達が陛下の死を知っているはずだ。今更皇帝陛下崩御を発表するのは茶番と言えば言える。

「次期皇帝の発表は如何します」
「皇帝陛下崩御を報じた後だが何時が良いかな?」
私が問い掛けるとリヒテンラーデ侯が逆に問い返してきた。
「宇宙艦隊が或る程度オーディンに近付いてからの方が宜しいでしょう。まあシャンタウ辺りですかな、……如何かな、シュタインホフ元帥」
「良いのではないかな、目途としては戦闘終結宣言から十日程の事になるだろう」

シャンタウならリッテンハイム、ブラウンシュバイクにも近い。連中の暴発を防げるはずだ。
「なるほど、では十日の間、ブラウンシュバイク公とリッテンハイム侯のどちらを選ぶか迷う振りでもするか」
そう言うとリヒテンラーデ侯は含み笑いを漏らした……。




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