暁 〜小説投稿サイト〜
皇太子殿下はご機嫌ななめ
第18話 「舞台にすら立たせてやらない」
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
閣下の前でも、そんな格好ができるものです。もっとも宰相閣下はお気になされていないようですし、構わないのでしょう。

「お、よく来たな。待ってたぞ」

 宰相閣下が気さくにお声を掛けられました。

「はっ」

 シルヴァーベルヒさんがきびきびした動作で、宰相閣下の机の前に立たれます。

「さっそく本題だ。卿はフェザーンの自治領主になる気はないか?」
「自治領主?」

 フェザーンの? 自治領主ぅ〜。
 隣で聞いていた自分のほうが驚いてしまいました。

「強引に首を替えさせるんだ。さらに一歩踏み込むべきだ。こちらの息のかかった人物を自治領主に据える。おかしな事でも、意外なことでもあるまい。それを防げなかった方が間抜けだ」
「確かにそうではありますが」
「という訳で、卿が行ってこい。大変だがやりがいはあるぞ。帝国と敵対しない限り、自由に辣腕を振るってよい。卿に一任する。ただし地球教には気をつけろ。取り込まれるなよ。いいな」
「おもしろそうですな。やります」

 シルヴァーベルヒさんが不敵な笑みを浮かべました。
 この方たち、何という事をやろうとしているのでしょうか? フェザーンを取り込むどころか、奪おうとしています。

「当面の敵は……」
「アドリアン・ルビンスキー」
「知っていたか?」
「今の自治領主の娘と結婚していますからね。次の領主になるつもりなんでしょう」
「そうだろうな。行って、踏み躙って来い」
「了解いたしました」

 さ、宰相閣下。ここのところ考えておられたのは、これですか?
 通りで悩んでおられたはずです。

「フェザーンの身包み剥いでやろうぜ」
「ついでのおまけに同盟もですな」

 こ、怖い。怖い人たちです。
 戦場とはまた違った怖さがあります。自分は場違いな気がしてきました。
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ