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東方虚空伝
第一章   [ 胎 動 ]
七話 不吉の風
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っていた。

「くっ、この!」

 もう一度斥力で吹き飛ばし距離を取る。美香を抱えたままじゃどうしようもない。庵さんが来るまで戦うしかないか。

「美香立てる。ここに居て、なんとかあいつを抑えてみる。」

「…見くびらないで。はぁはぁ…援護位できるわ。なんとか隙を作って『アレ』を使いましょう…」

「了解、でも無理はだめだよ」

「あなたもね。」

 とりあえずあいつに隙を作らないと。そう思った瞬間、衝撃波のようなものが僕達を吹き飛ばした。

「がっ!な、何が?」

 考える暇もなく顔を上げた時にはもう奴が目の前にいた。振り下ろされた拳を咄嗟に横に転がり避け、一瞬前まで僕がいた所に拳が突き刺さり粉塵を上げた。

「!?舐めるな!」

 起き上がり様に剣で一閃するが僕の一撃は奴の腕で防がれてしまう。攻撃で動きが止まった僕はそいつの放った蹴りを受け空中に吹き飛ばされる。それだけでは止まらず奴の追撃を喰らいまだ空中にいた僕は地面に叩きつけられ、ゴムボールの様に2,3回跳ねた後地面に転がる。

「がはっ!ゴホ、ゴホ…こ、この!」

 さらに迫るそいつを斥力で引き離す。速すぎる。このままじゃ…。

「なんだ、その程度か?」

 失望したような感じでそう言ってくる。

「はぁはぁ……さて…どうかな?」

 なんとか立ち上がり左手に霊弾を作る、ありったけの霊力を込めて。そして剣を奴に向け斥力を使う。

「っ!何度も何度も同じ手を…」

 奴は吹き飛びながら罵倒してきた。好きに言ってろ。奴が着地する瞬間引力でこっちに引き寄せる。

「!?」

 奴が虚を付かれバランスを崩した所にすかさず霊弾を放ち、霊弾が直撃した瞬間に剣で斬り掛かりそいつの右腕を切り落とした。
 同時に手に持っていたエストックが音を立てて砕け散った。僕の能力には致命的な弱点があるそれは――――一日1回しか使えないという制限と発動時間が最大十分間という制限。どうしてこんな制限があるのかは自分でも分かっていない。
 だけど今は問題なかった。今のでようやくあいつに隙ができたのだから。

「虚空!」

 美香が合図を出す。よかった無事だったんだ。

傲慢(ルシファー)!」

 呼び出すと同時に空中に大小様々な剣を創り出す。その数実に百を超えた。その全てが一瞬にして奴をドーム状に囲んでいた。
 僕が剣を作り美香が時間を止めて配置。これが僕達のコンビネーション『轟卦剣乱(ごうかけんらん)』だった。
 逃げ場の無い圧倒的な質量攻撃。絶対に防げない。
 そのはずだった。
 直後圧倒的な何か不可視の力に僕達は打ちのめされていた。意識する暇も無く地面を転がる。

「……えっ?ゴホっゴハっ!ガハっ!」


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