第二十六話 青天の霹靂って知ってるか
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宇宙暦796年 10月 10日 イゼルローン要塞 遠征軍総司令部 ヤン・ウェンリー
「まさか本部長が自ら遠征軍の総司令官に就任されるとは思いませんでした」
私の言葉にシトレ元帥が軽く笑い声を上げた。
「自ら蒔いた種だ、ビュコック司令長官に刈らせるわけにはいかんよ。ましてどんな草が生えるか分からん種ではな」
自嘲だろうか、声には苦い響きが有った。
「まあそれに八個艦隊、動員三千万の大兵力だ、軍人として一度は率いてみたい、そうは思わないかね?」
「まあ、それは。しかしキャゼルヌ少将は大変でしょう」
「そうだな」
今度は翳の無い笑い声がイゼルローン要塞の司令室に上がった。
帝国領侵攻が決定され動員される兵力が八個艦隊、将兵三千万と聞いた時、とても正気とは思えなかった。一体それだけの兵力を使って何をしようと言うのか……。そしてその侵攻作戦を提案したのがシトレ元帥と聞いて唖然とした。本部長までが馬鹿げた出兵案に賛成したのかと……。
だがシトレ元帥から事情を聞いた時、私は何も言えず溜息を吐く事しかできなかった。出兵を諦めさせる事を目的に作られた出兵案、当然だが現在の同盟にとっては馬鹿げたものだがそれが最高評議会において否決されずに正式に認められてしまった……。
「大きな声では言えんが私は戦果を求めてはいない。出来るだけ最小限の犠牲で敗北する事を望んでいる。補給物資の浪費で済むなら万々歳だな」
「キャゼルヌ少将は御存じなのですか?」
「もちろんだ、知っている。その上で補給を担当してくれている。もっとも三千万将兵を食わせるのは容易ではない、キャゼルヌ以外に人が居ないのも事実だ」
やれやれだ。政治家達の馬鹿げた判断の所為でこんなとんでもない出兵が起きたとは……。
遠征軍の総司令部はイゼルローン要塞に置かれ実戦部隊八個艦隊は既に帝国領に向かって侵攻を開始している。遠征軍の陣容は以下の通りだ。
総司令部
総司令官:シトレ元帥
総参謀長:オスマン中将
作戦主任参謀:コーネフ中将
情報主任参謀:ビロライネン少将
後方主任参謀:キャゼルヌ少将
私は五名いる作戦参謀の一人としてこの作戦に参加している。他に情報参謀、後方参謀がそれぞれ三名ずつ置かれる事になっている。そして彼らを助ける高級副官、通信・警備その他の要員が加わって総司令部を構成する。
実戦部隊
第二艦隊:パエッタ中将
第三艦隊:ルフェーブル中将
第四艦隊:モートン中将
第七艦隊:ホーウッド中将
第八艦隊:アップルトン中将
第九艦隊:アル・サレム中将
第十艦隊:ウランフ中将
第十二艦隊:ボロディン中将
同盟領内には第一艦隊:クブルスリー中将、第五艦隊:ビュコック元帥、第六艦隊:チュン・ウー・チェン中将、第十一艦隊
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