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銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
戦いの前に
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、アレスの攻勢の前にテイスティアの旗艦は敗北した。
 それでもワイドボーンがローバイクの艦隊をほぼ全滅まで追いこんでいる。

 結果としては4対6でアレスの勝ちであった。
 相変わらず、彼の無敗記録を更新したわけであるが、一歩間違えればそれも途絶えていただろう。コーネリアが、あるいはテイスティアがもう少しアレスに打撃を加えていれば、逆転していたかもしれない。

 しかし、まったく嬉しくもなんともない戦いであった。
「……うぷっ」
 テイスティアが筺体の中で吐きそうになっている。
 それも理解できる。

 あのアレスの攻勢は鬼といってもいい。間隙なく続けられる攻撃に、休まる時間はない。コーネリア自身もコンソールを三十分以上の長きに渡って叩き続ける羽目になった。
 これほどの攻勢は、ワイドボーンが敗北した一戦以来だろうか。

 その当の本人は、先に筺体から抜け出してアイスコーヒーを飲んでいるのだから。
 にがっと小さく嬉しそうに飲んでいる様子に、思わず恨み事をぶつけたくなる。
 戦術シミュレーターで、敵将を狙うなど初めて聞いた。

「アレス! この戦いは俺の勝ちだ」
「何いってんですか、先輩。結果では俺の勝ちだったでしょう」
「だが、こちらはテイスティア、そっちはローバイクを失った。今後はともかく、現時点ではそちらの方がダメージは大きいだろう」

「現時点ではですけど、次はそちらはコーネリア先輩とワイドボーン先輩しかいませんよ?」
「くっ」
 ワイドボーンは歯ぎしりをした。

 再び同数で、アレスと戦う。
 それを想像したのだろう。コーネリア自身もごめんであった。
 今回もテイスティアがいなければ、ローバイクの奇襲艦隊に右翼が蹂躙されていただろう。それを敵の数と動きにいち早く気づいたテイスティアはお手柄と言ってもいいかもしれない。
 けれど。

「うぷ」
 テイスティアは吐き気を誤魔化すので精一杯の様である。
 戦術シミュレーターとはいえ、正面から命を狙われたのだ。
 ご愁傷様と言いたくなるが、可哀そうなのはローバイクもだろう。

 もっとも、当の本人は四時間もの戦いを終えたというのに、元気であるのだが。
「結局、貴様には一回も勝てないままか」
「いや、今回はぎりぎりでした。テイスティアを狙わなくても、勝てるかどうかは五分でしたからね。次はどうなるか……まあ、その次はテイスティアはいませんけど」
「大丈夫だ。奴ならヴァルハラだろうが、天国だろうが、呼べば来る!」

「無理でしょ、それは」
 アレスが即答して、周囲に笑いが起きた。
 テイスティアも、そして普段はあまり笑わないローバイクも笑っている。
 狭い筺体から抜け出して、再び小会議室に戻る。

 それぞれコーヒーやアイ
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