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クラディールに憑依しました
彼女の決着がつきました
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がよく見えなかったがシリカは暫くすると腹の上まで戻り、そのまま上半身を倒し肩の上にアゴを乗せてきた。
 そこから手を水に伸ばし鏡でサチを見付けたのかシリカはあまり動かなくなった――――小刻みに揺れてるのはリズムか。
 声を出さずにサチと一緒に歌っている様だ。暫く子守唄代わりに聴いていたが、アップテンポなのに悲しい歌だな。
 他にも親しい人の死を悔やむ歌ばかりが聞こえてくる――――歌い疲れたのか歌が止まり、暫くしてキリトがやって来た。


………………
…………
……


 アスナとのデュエルを終えた後。転移門から直ぐに宿に戻り、追跡スキルを発動させサチの足跡を追った。
 主街区の水路の奥にサチは居た。水路の照明を避ける様に膝を抱えて座っていた。


「――――サチ」
「キリト………………もしかして聞いてた?」
「? 他に誰か居たのか?」

「ううん。何でもないの――――良く此処が判ったね」
「感かな。みんなが心配してるよ。一緒に帰ろう」
「ねぇ。キリト。このまま一緒にどこかに行こう」

「まだ戻りたくないのか? 少しくらいなら付き合っても…………」
「そうじゃなくて、逃げよう。ソードアートオンラインから」
「――――――それって心中っ!?」

「………………キリトは私と一緒に死にたいの?」
「…………――っと――――」
「キリトとなら私――――」

「ちょ、ちょっと待ったッ!?」
「ふふ、嘘。ごめん。ちょっとからかって見ただけだよ。きっと心中してもキリトより私の方が先に死んじゃうから。
 ――――キリト強いから――――私なんかと一緒に死んでくれないよね」

「…………何かあったのか?」
「ううん。何でもないよ。――――私、死ぬの怖い――――怖くてあまり眠れないの。ずっと考える様になったの。
 何でSAOなんて始めちゃったんだろう。何であの時先生は私達にナーヴギアを買い与えたんだろう。
 ………………………………――――――こんなデスゲームに何の意味があるんだろうって」


 前にパソコン研究会を受け持った先生が、黒猫団全員分のナーヴギアを揃えたって言ってたな。
 サチはきっとその先生のフォローをして欲しい訳じゃない。


「大丈夫。君は死なないよ…………デスゲームが始まった瞬間に、意味のある事なんて全部終わってしまったのかもしれない。
 でも月夜の黒猫団は強いギルドだ。他のギルドよりも充分安全マージンを稼げてる。本当に大丈夫だよ」
「本当に? 本当に私は死ななくて済むの? 元の世界に帰れるの?」
「ああ。君は死なないよ――――――――いつかこのゲームがクリアされる時まで」


 サチは静かに涙を流し、暫く俺の肩に顔を押し付けていた。
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