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クラディールに憑依しました
彼女の決着がつきました
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距離を取るどころか。更に踏み込んでわたしの後ろを取ったって言うの!?


「悪いけど、コレで終わりだ」


 武器防御も間に合わず。自在に変化するキリトのソードスキルがわたしを打ち抜いた。
 キリトとの間に判定ウィンドウが表示された。キリトの勝ち。わたしの負け。
 膝をつき手から細剣が滑り落ちた。


「約束どおり、此処で手を引いてくれ。サチの事は俺が必ず何とかするから」
「…………必ずよ。サチを泣かせたら――――――許さないから」


 走り去るキリトの後姿が転移門広場から消えた。
 ………………サチ、ごめん――――ごめんなさい。




………………
…………
……


 シリカを抱きしめながら、正確にはマントの下に宙吊りにしながら、サチが座り込んでいるであろう水門の裏側を目指す。
 奥の交差点に来た所で、どちらに進もうか迷っていると、マントの下からシリカが指を出し方向を示した。
 マントの中を覗いて見ると、目を合わせたシリカが指先で指揮者がタクトを振るように、テンポ良くトライアングルをなぞる。

 歌が聞こえるってか。シリカが再び指す方向へ歩き出すと、三歩目で俺にも微かに歌が聞こえて来た。
 注意深く忍び足スキルを駆使してゆっくりと距離を縮める。水門の向こう側から明かりが漏れている。
 サチが歌っている。こうやってストレスを発散してたのか? いや、それならこんな騒ぎになってないか。

 ギリギリまで水門に近付いて、水の中に鏡を指し込みサチを確認する――――キリトはまだ来てないな。
 マントの下からシリカの手が伸びて鏡に触れる。自分にも見せろってか。
 シリカに鏡を渡すと、暫く水の中で角度を変えてサチを見付けたのか、力が抜けるのが判った。

 ちなみに、今の体勢だが、四つん這いになったシリカの上に俺が覆い被さる形だ。
 シリカに触れないように変則的な腕立て伏せをしているのだが――――もうメンドクサイ。
 猫の首根っこを持つ様にシリカを持ち上げて水路沿いに寝っ転がって腹の上に降ろした。俺に押し潰されるよりはマシだろう。

 マントから頭を出さない様に指示した後はキリトが来るまで寝る事にした、それまでサチのコンサートが続く筈だ。
 もし此処でマントからシリカを出したらキリトの看破スキルで発見されるし。
 追跡スキルで水門の向こうからシリカの足跡を察知されるだろうしな。

 最初シリカは鏡を水に浸け様と手を伸ばしたが微妙に届かず、俺の腹の上から胸の上に移動し両足で顔を挟む形になった。
 鏡を水に浸けるにはまだ足りないらしく、シリカは更に上に腰を寄せようとして股越しに俺と目が合って硬直した。
 ――――――誰だって股下にこんな顔があったら泣くだろ。

 暗闇で表情
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