暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
マザーズロザリオ編
episode3 黒き装束の冒険者
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タストロフ》。実にあのデスゲーム以来の装備となる、『無刀』の戦士である俺の唯一にして最強の武器。その効果上、基本的に対人戦で用いることを想定された装備……でありながら、対人戦ではあまり用いることのない武器。

 それは、この世界では、死よりも惨い効果を与える、恐怖の手袋。

 (……最悪、必要になるかもだから、な……)

 心の中で、呟いて。

 「じゃあ、行ってきます。……いつもスミマセン」

 深々と頭を下げるブロッサムさんに感謝を告げ、俺は空を往く鉄の城へと飛び立った。





 (あーあー……やっぱり、か……)

 俺は眼下に広がる光景に、盛大に溜め息をついた。

 迷宮区にいるにも関わらずその景色が眼下に(・・・)広がっている。理由は、俺が今現在天井に()()()()()()いるからだ。天井から突き出した突起に足を引っかけての逆さ吊りだが、このALOでは頭に血が上るのは錯覚であって耐えられるものだ。そしてここなら隠蔽呪文を使わなくても、素の《隠蔽》による透明化のスキルだけで完全に気配を消せる。

 そこにいたのは、三人のプレイヤー達。種族は闇妖精《インプ》が二人、風妖精《シルフ》が一人で、装備を見るに革製鎧の軽戦士か、暗殺者《アサシン》か。そこそこには高レベルな隠蔽呪文《ハイディングスペル》を用いての隠れ身だが、あの程度なら俺なら索敵生物(サーチャー)無しでも見破れる。

 (……迷宮区奥での隠れ身……ってなれば、そういうことだよなぁ……)

 ぶら下がったまま、もう一度音を立てずに溜め息をつく。
 俺の「嫌な予感」、「最悪の場合」が、しっかりと的中したということだからだ。

 恐らく彼らはここに隠れ続け、ボス攻略に望むパーティー達を観察して情報収集をしているのだ。普通フロアボスの前となれば、プレイヤー達はここで突入前に支援魔法をしこたまかけてから入るだろう。そこに幾つか《盗み見》や《盗み聞き》を紛れこませれば、ボスの様子を好き放題に調べ上げることができる。

 (……最近のあのギルドのボス攻略のうまさは、そう言うわけかよ……)

 目を凝らす先に映るカーソルに見えるのは、「横向きの馬に盾」という最近話題のフロアボス攻略ギルドのエンブレム。一瞬、俺の『切り札』の一つを以て奴らを排除するかと考えたが、ここで奴らを倒しても、代わりが来るだけだろう。

 どうするか。
 どうするのが、ユウキ達の助けになるか。

 悩む、俺の耳に。

 ―― ……って、ユウキ、……って――

 微かに、しかし確かに、聞き覚えのある声が聞こえた。





 アスナが来た時、正直驚いた。

 あの『閃光』殿は確か《索敵》のスキルは
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