暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
マザーズロザリオ編
episode1 彼女との決闘
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 「最後の相手は、俺だ。手合わせ願うぜ」

 告げた瞬間、ユウキの顔に絵に描いたような驚きが浮かんだのを見て思わず噴き出しかけたが、なんとか堪える。ここで俺とユウキが知り合い……と言っても、まだそこまで知りあっている訳でもないが……だとバレてしまっては、広告効果は半減だ。

 「えっ、で、っ!」

 口を開きかけたユウキに、ちいさくウインクして合図。何の打ち合わせも無かったが、彼女はそこそこんは勘もいいらしく、その動作で全てを理解してくれたらしい。

 にっこりと笑って続いた彼女の言葉は、

 「分かったよ! キミが今日の最後の相手だね! 手加減無用だよ!」

 笑いたくなるくらいに真っ直ぐだった。
 そしてその言葉と同じように、真っ直ぐに構えられる剣。

 その何気ない動作は、美しいほどの滑らかさで、SAO生還者である俺よりも熟練したVRMMO歴を感じさせる程の自然さだった。その一つ一つの動作が、記憶の『彼女』と被る。構える黒曜石の輝きを放つ剣が、懐かしい緋色に滲んで光ったように錯覚するのを、無理矢理に意識から追い出す。

 (……今は、目の前のデュエルに集中する時だ)

 彼女は言った。手加減無用と。
 ならば当然、これは真剣勝負。

 意を決して真っ直ぐにユウキに向けた視線。同時に表示される、ウィンドウ。

 『Yuuki is Challenging you』。

 当然のように全損モードを選んで、同時に表示されてゆっくりと減りだすカウント。一秒ずつ減るはずの数字が、やけにゆっくりと減速していく。手加減は、無い。

 三 ―――
 二 ―――
 一 ―――

 「やああっ!!!」
 「おおおっ!!!」

 零になると同時に挙げた裂帛の気合は、彼女のそれと完全に同調して響き渡った。





 「うわっ!?」
 「――ッ!!!」

 交錯と同時に、ユウキの驚いた声が上がる。俺が放ったのは、単発体術基本技、《スライス》。うすいエフェクトフラッシュを纏った一撃は、彼女のジャケットの肩口を浅く切り裂いた。

 《スライス》は、かなり低い熟練度でも使える基本技となるソードスキルだ。当然その威力はソードスキルの中では最低クラス。しかしこの技には、高レベルの大技には無い利点……技後硬直の短さと出の速さがある。それはつまり、手数で押すタイプの俺に相応しい技だということだ。

 「ほらっ、ぼーっとしてんなよ!」

 既にこの小柄な音楽妖精のアバターにも大分慣れて来ており、手刀は意識と完全に同調した軌道を描いて空間を裂いた。跳び退るユウキを、油断なく見やる。

 「ユウキ!?」
 「おおっ、当てた!」「すっげ、先にHP減らした!」「流石は『戦う行商人』だ!」

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