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ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
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Cross story The end of world...
交戦
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地すると、側面で響く大音響を掻き消すような叫び声を上げながら残りの20mを疾駆する。
が、そこにアウルは既に居ない。俺の気が一瞬逸れた隙に飛び上がり、移動したのだ。舌打ちしながら振り返ると、無音の羽ばたきで着地する漆黒の梟が声を発した。

『惜しかったわね〜』
「……うぜぇ」

通常のAIで出来たモンスターになら苛立ちを感じる事は殆んど無いが、流石に相手は本物の怪物とだけあってこんな気分にもなるのだ。

『ところで、そろそろ『本気』とやらを見せて欲しいのだけれど?』
「……ばれたか」

もし本気でやっててこんな事を言われていたらブチ切れていたところだが、正直に言えばまだ余裕はある。
だが、《レイ》でいる間に『本気』になる事を厳しく戒めてきた彼にとってここが『現実』であったとしても《レイ》となってしまった以上、枷を外すことはかなり憚られた。何故なら―――

「……俺の本気を見るのは止めておいた方がいい」
『あら、どうして?』
「命の保証が出来ない。特にこの《成り》だとどんな事になるかは俺も分からん」
『……私はあなたを殺さなきゃいけないのよ?そんな私に《殺さない》なんて情けをかけるの?』
「帰りたいんだろ?元の世界に。だったら殺しちゃダメだろ」
『な……。馬鹿ね、あなた』
「馬鹿言うな。殺すぞ」

大太刀を鞘に戻し、体の力を抜く。
……アウルの目の強い光は揺らがなかった。最初から彼女は覚悟の上で俺と戦っていたのだ。


これから使うのは禁忌のシステム外スキル《二天一流》。《レイ》ではなく《水城螢》の技だ。


―《水の型、無形の構え》―


『そう、それよ』
「……来い」

無音のまま飛び上がり、こっちに飛翔してくるアウル。先行した鎖がレイ向かって飛び出した。



―チンッ……



『…………な……ぁ?』
「大人しくしていろ。死にはしない……と、思う」

鎖がレイに接触する刹那、その鋼鉄の鎖は一文字に裂けていき、そのままアウル本体も横に割られた―――というのを地面にひれ伏してからアウルは知覚した。

レイはアウルの体に埋め込まれていて、斬りつけた際に抉り出した鍵を地面から拾い上げると踵を返し、元来た通路に向かって歩き出しながら最後、アウルに告げた。

「一応、言っておこう。―――二天一流《水の型》・裏絶招、《絶一文字》。……惜しかったな」
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