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とあるβテスター、奮闘する
裏通りの鍛冶師
とあるβテスター、転がる
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「うーーあーー」
「え、えーっと……?」
転がる僕。
困惑するシェイリ。
いつもとは逆の立場ということで、僕のテンションもヒートアップ。
いつもより多く回っております。かっこ当社比。

「うあーうあー」
「………」
「うーあー」
「……、うあ〜」
暫くごろごろ転がっていると。
唖然としながら僕の様子を見ていたシェイリは───なぜか自分も枕を抱きかかえ、隣のベッドで同じように転がり始めた。

「うあー?」
「う〜あ〜」
「うあー」
「うあ〜うあ〜」
半ばやけっぱちだった僕は、彼女の予想外の行動に驚いて。
驚きつつも、転がり続けた。
シェイリと一緒に、転がり続けた。


────────────


「んー、なんかすっきりしたねー」
数分後。
そこには、にこやかな笑顔を浮かべるシェイリと、

「……何やってるんだ、僕」
少し冷静になって、虚無感に苛まれる僕の姿があった。
……いや、ほんと何やってるんだろう、僕。
割と本気で死にたくなってきたよ?

「……でも、まあ。すっきりした、かな?」
「でしょ〜?」
そう言って、何故か得意気に胸を張るシェイリ。
最初に転がり始めたのは僕だから、シェイリが得意気になるのはおかしいんだけど……まあ、そんな細かいことを突っ込むつもりはない。
というか、こんなしょうもないことに対する権利を主張するつもりもない。

まあ、それは置いといて。
僕にとってはそんなことよりも、体を動かしたことと思いっきり声を出したことで、いくらか気分がすっきりしたことのほうが重要だった。
傍から見れば気が狂ったかとも思われかねない行為だったけれど、暗い思考を振り払うにはうってつけだったらしい。

「……まあ、考えるだけ野暮だったかな、うん」
「?」
「ん、なんでもない」
吹っ切れた気分でそう呟くと、不思議そうな顔をしたシェイリと目が合った。
今度は気まずい思いをすることもなく、真っ直ぐ彼女の顔を見ることができた。

人の本心なんてものは、その人自身にしかわからない。
当然ながら、彼女の本心は彼女にしかわからない。
僕があれこれ推測しようと、いくら色々考えようと、彼女の心を読むことはできない。
故に、答えが出るはずもない。
最初から解答の用意されていない問題を、延々と考え続けているようなものだ。

だったら。
もう、何も考えなくていいじゃないか。

いつもの彼女が本物で、あの時僕が感じたものが、単なる気のせいだったとしても。
一瞬だけ見せたあの姿が本物で、いつもの彼女が偽りだったとしても。
それが、そのどちらもが、今日まで一緒に生きてきた彼女なんだから。
あの時───僕が勝手に取り乱して、本当に死んでしまうかもしれなかった時。

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