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MASTER GEAR 〜転生すると伝説のエースパイロット!?〜
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 ベット・オレイユの主要施設は全て地下にある。

 これは二百年前までベット・オレイユの環境が人間が住むには過酷なものであったため、居住施設を地下に作った名残である。更に言えばベット・オレイユの人口の八割であるシメールは元々、過酷な環境に適応できるように遺伝子操作によって作られた労働用の獣人の子孫だった。

 ハジメがファム達の指示に従ってベット・オレイユの地下にある軍の基地にリンドブルムを降ろしてからすでに三日。一と彼の護衛兼監視役のファム、ソルダ、フィーユの四人はその間、艦の中で待機するように言われていた。

「今日でもう三日か……。一体いつまでここにいたらいいんだろ?」

「それは……分かりません」

「ごめんなさい。ハジメさんの、イレブン・ブレット少将の情報に上層部も混乱しているみたいで……」

 ブリッジで呼び出した椅子に座りながらハジメが呟くと、同じくハジメが呼び出した椅子に座ったソルダとフィーユが申し訳なさそうに謝る。

(まあ、言われてみれば「士官学校の訓練時にゴーレムの群れに襲われ、二百年前に実在した軍人とその機体に助けられた」というSFみたいな話なんて、そう簡単に信じられないだろうな。……もっとも僕にとってはこの世界自体がSFなんだけどね)

「……上層部からしたらハジメさんがイレブン・ブレット少将である事実なんて認めたくないんでしょうね」

 ハジメが呼び出したソファーにだらしなく寝そべってファムが退屈そうに呟く。

「ファムさん? それは一体どういうことですか?」

「理由は三つあります」

 ハジメが聞くとファムは右手に指を三本立てて説明する。

「まず一つ。個人で強力な機体や戦艦を自由に使える立場なんて認めたら、もし反乱なんて起こされた時どうするんだっていう点」

「なるほど」

 確かにいくらサイクロプスとリンドブルムがハジメにしか動かせなくても、強力な機体と戦艦を自由に扱える個人がファムの言うように反乱なんて起こしたらと考えると、軍の人間は気が気ではないだろう。

「次に二つ。『イレブン・ブレット』という名前は二百年前のものですが、その名前が持つ影響力は今も宇宙中に通用します。この事実の味が上層部の人間にとって激マズだという点」

 イレブン・ブレットの名前と伝説を知らない人間なんてこの宇宙にはまずいない。もしこれが現代に蘇って、伝説通りの武力を持っていることが知られたら最悪、イレブン・ブレットを中心とした軍に匹敵する一大勢力ができてもおかしくないとファムは考える。

「最後に三つ。……ぶっちゃけ、これが一番大きい理由だと思うんですけど、上層部はハジメさん、イレブン・ブレット少将が自分達に復讐をする気なんじゃないかって、疑っているんだと思います」


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