第六話 一時の空白
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枯れ始めていた。それを見たシンは思わずつぶやく。
「ごまかせないってことかも……」
「え―――?」
「いくら綺麗に花が咲いても、人はまた吹き飛ばす―――」
そう言って、そのまま振り返り、車に戻ろうとする。その言葉にどんな気持ちが込められていたのか、推測は出来ても理解は出来ない。マーレはその様子を見ながら車のエンジンをかけ、出られるようにしておく。
「―――もういいのか?」
「はい―――こんな偽善を、俺は見つめたくない」
そうして、彼らは一度目の邂逅をはたし、そして、物語の運命は進みだす。
◇
プラントに無事辿り着き、俺は議長と(ようやく)別れることになり、ゲルググの開発部まで戻る。ミネルバで得たゲルググの実戦データは多く、充実したものとなった。これならば、ロールアウトまでの期間を短くすることも可能だろう。
「うん、いいね。ロールアウトはまだ先だけど、多少の先行配備は間に合うかな?」
先行配備予定の部隊、おそらくは特殊部隊だろう。上層部直々(議長かどうかは知らない)の命によって配備される予定のF型。機体数はそれほど多くはなく三機程度。F型は海戦仕様として造っていたのだが、特殊戦闘用に軽量化と運動性を高めさせてもいる。
「良いね、G型やJG型は間に合いそうにないけどデータを取れた他のタイプは大幅に縮められそうだ」
データを開き、その情報を元に機体のスペックを高めながら修正を入れていく。機体によってどの部分に負荷がかかるのか、どの機動データをOSに反映させるか。
「情報を獲得するにはやはり実戦が一番だな」
コーヒーを入れて口に含みながらそう言う。相変わらずここにあるのは不味いインスタントだと感じたのでミルクと砂糖を適当に入れながら、データを見ていくとある部分に目が留まる。
「このレイの戦闘データ―――最早これは先読みレベルか?」
デコイによって騙された時のレイ機の戦闘データをみて、そう思う。やはり彼は優れた空間認識能力を持っているのだろう。まるで後ろに目がついてたかのように、切りかかったダガーLの攻撃を半身で躱し、逆に見えないであろう位置から正確にコックピットを貫いている。しかもエグザスのガンバレルを回避しながらだ。
「NTクラスの空間認識……」
もしかしたら、この世界も人類の革新者としてNTが存在したのではないか?思わずそんな馬鹿馬鹿しい考えが浮かぶ。空間認識能力が高いだけじゃNTとは言えない。それに、彼の家系はもとよりその特殊性を備えていると言うだけの話だったはずだ。NTが家系で遺伝するのか、果たして?仮にそうだとしても、宇宙に殆ど出なかったフラガ家の人間がNTになるのか?
「馬鹿ことを考えた……疲れてるのかもしれない
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