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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第五十一話 エル・ファシル
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ベロ議長だろう。
「遠慮は要らない、座ってくれたまえ」
頭領が俺をチラっと見てからソファーに向かった、後を追う。二人でレベロ議長の正面に座った。幾分憔悴しているように見える、髪にも白いものが有った。テーブルには既に水の入ったデキャンタとグラスが二つ置いてあった。

「そちらは誰かな」
「アーダルベルト・フォン・ファーレンハイト提督です。帝国軍の正規艦隊司令官です」
頭領の紹介に俺が少し頭を下げると向こうも微かに頷いた。

「監視役かね、信頼されているようだ」
ちょっと皮肉が入っているな。
「間違いが無い様にと心配しているんです。大事にされているんです、有難い事ですよ」
フンとレベロ議長が鼻を鳴らした。皮肉を言ったのに軽くいなされて面白くないらしい。

“もう一つ要るな”、そう呟くとレベロ議長は立ち上がって奥に有ったアンティーク調ガラス扉キャビネットからグラスを出した。
「その中身は水だ、私が用意した。他の人間に任せると毒でも入れかねんからな」
「有難うございます、感謝しますよ、レベロ議長」
議長が席に戻りグラスに水を注いだ。頭領が一口水を飲んだ。なかなか度胸が有る。それとも議長を信用しているのだろうか。俺も一口水を飲んだ。

「こうして直接会うのは初めてだな」
「そうですね、やはりこの方が親近感が湧きます。議長、いささかお疲れのようですね」
「君のおかげでね、全く余計な事をしてくれた。君さえいなければ同盟が生き残る事は可能だっただろうに」
忌々しそうな口調だ。表情も渋い。

「その可能性は有ったと思います、否定はしません。ヤン提督は名将です、彼ならローエングラム公に勝てたかもしれない。しかしそうなるとこれからも戦争は続いたでしょう、同盟の国力では帝国を征服する事は出来ない。用兵の問題じゃありませんからヤン提督でも無理です」
「……」
レベロ議長が唇を噛み締めた。

「その方が良かったですか? 同盟は軍の再建、そして戦争が続く事で経済も社会も滅茶苦茶になっていたはずです。帝国も同盟も誰も幸せにはなれない……。喜ぶのは地球教だけですよ」
「……地球教か」
レベロ議長が呟いた。地球教か、帝国軍の次の敵は地球教だな。帝国では弾圧したがこちらではそうではない……。

「ようやく宇宙に平和が来るんです。民主共和政もエル・ファシルで存続する。それで良しとすべきでしょう」
民主共和政が存続する。ビッテンフェルトから聞いた時には驚いたがやはり本当なのか。レベロ議長が溜息を吐いた。

「戦争が無くなるか……。望んだ形では無かったが戦争が無くなるのは良い事だ、それは認める。民主共和政も認められるのだ、有難いと思う」
強く自分に言い聞かせるような口調だった。
「しかしね、エル・ファシル公爵、あれは何だね? いく
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