第八十七話
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の発展は留まる所を知らず、ついには人類は宇宙に進出する。
化学兵器はとうに魔術師の限界を超えていた。
そんな時代になった頃に彼と同じ不老の姉が生き飽きてしまったのだ。
彼に自分の権能を譲り渡すとつまらなくなった世の中を去っていった。
彼と彼の同胞はまた幾年も生き、最後はやはり大量破壊兵器の前に去って行った。
…
…
…
目が覚める。
ここは…?
「目が覚めたか、イリヤ」
ベッドから起き上がり、声のした方を向くとそこにはチャンピオンが心配そうに覗き込んでいた。
「ここはわたしの部屋?」
きょろきょろと視線を動かした後わたしはチャンピオンに問いかける。
「ああ。どうやら魔力の使いすぎで倒れただけのようだ。アテナが無茶をしたみたいで悪かったな」
「ううん、それは別に良いんだけど…」
と言ったあとわたしは話題を切り替えた。
「ねぇ、チャンピオンの固有能力って時間操作?」
と問いかけたわたしに怪訝そうな表情を浮かべるチャンピオン。
「…もしかして俺の記憶を夢で見た?」
「ええ。ごめんなさい。でも仕方ないじゃない。止めようと思っても勝手に見てしまったんだもの…」
「そうか…」
と言った後何かを観念したようにチャンピオンは言葉を続けた。
「俺の能力は時間操作だけではなく因果操作だ。魔力の消費量に応じてあらゆる因果に干渉し、捻じ曲げる事が出来る」
「え?それってもはや魔法の域じゃ…」
特定の事象の因果を捻じ曲げてしまう道具は存在する。英雄の宝具にはそう言った逸話の有る物は多く存在するだろう。
しかし、それですら今の魔術師では再現が難しい。
だと言うのに彼は全ての事象を操れると言う。
「俺の過去を何処まで見た?」
「最初は絵本に出てくるような中世の魔法使いだったわ。次がニンジャだったかしら。そして現代の日本。そして中世の戦争時。最後はまた日本だったわ。ねぇ、あれは全部あなたよね」
と答えるとチャンピオンは頭をかきながら誤魔化すことなく話してくれた。
「イリヤがどういう夢を見たのかは分からないが、それはおそらく全て俺の過去だろう。
そう…俺は記憶と技術を継承しながら世界を渡っている。つまり、この世界の常識外の存在だ。だから因果を操る事だって可能だし、口から火を吹く事も出来るし都市を丸ごと吹き飛ばす事も可能だ」
「都市を丸ごと…」
「とは言え、それは生前の能力。魔力制限が無ければの話。今の俺では精々がビル一つを破壊する程度が精一杯かな?」
「それってやっぱりわたしの魔力不足?」
「まぁ、それもある。が、元々は別種のエネルギーを併用しながら使っていたものを一種のエネルギーで
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