第八十七話
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さて、結局何をもって聖杯が汚染されていると断定するのか。
その断定に足る情報を俺は何一つ持ち得なかった。
であれば、二本ある映画の内どちらかの結末を迎えるにしろ、主人公達には何とかしてもらわなければ成らないのだが、その内二本目の可能性は却下されてしまう。
なぜならイリヤが死んでしまうからだ。
イリヤを守れと言う強迫観念はまだ俺を縛り付けて離さない。と言う事は、必然的に一本目となる訳だが、幸運な事にあのセイバーとの邂逅が一つ目の道筋の可能性を大きくしていた。
とは言え、俺自身が途中でリタイアと言う選択肢にも何故か拒否反応が出てしまう。
イリヤを守りきる、その選択肢は絶対で、俺の行動を何かが阻害している。
結果、成るようにしかならないと言う所に落ち着いてしまう。ただ、聖杯が汚染されていようがいまいが、聖杯戦争が進み、サーヴァントが脱落していくとイリヤの人間としての機能が阻害されていくので、彼女の命を守ると言う事は、サーヴァントを脱落させない事。もしくはサーヴァントの魂を彼女に回収させない事が重要になってくる。
つまり、彼女の中にある聖杯にサーヴァントの魂を入れない事が彼女を守る事に繋がると言う事だ。スサノオで封印してしまえばサーヴァントの魂を俺がぶんどってしまう事も可能だろうが、彼女はサーヴァントの魂が回収されたかどうかは容易に分かるだろう。
俺が一騎でもってサーヴァントを封印してしまえば怪しまれ、令呪を持って二度とスサノオを使用させないだろう。
うーん、色々考えるに現状は手詰まり感が半端無い。
俺自身が最後までイリヤを守りきると言うのは簡単なようで、実はかなり難しいのではなかろうか…
考えが纏らないまま今日も他のサーヴァントを求めて冬木の街を歩き回る。
今日の目的地は決まっていた。
円蔵山にある柳洞寺は、霊的に優遇された場所で、聖杯の降臨場所の有力地でもある。そこをアインツベルンのマスターであり聖杯の守り手たる彼女が訪れないわけが無い。
しかし、その柳洞寺にある山門を臨む石階段を見上げれば、そこには此方を見下ろす伊達者が居た。
手に持った刀身の長い刀を横一文字に構え此方を威圧する。
「良い月夜だと思わんか」
「あなたは何のサーヴァントかしら?」
イリヤはその男の問いかけには答えずに逆にその男に問い掛けた。
「アサシンのサーヴァント、佐々木小次郎。女狐にこの山門の用心棒を仰せつかった。この門を通り中へ入ろうとするならば私を打倒してからになるだろう」
「ササキコジロウ?えっと…どこの英雄かしら?」
「日本だ。巌流島で宮本武蔵との一騎打ちに負けた剣豪だな」
と簡単にイリヤに説明する。
「日本の
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