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魔王の友を持つ魔王
§48 永すぎた乱戦に結末を
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事後承諾で申し訳ございません」

 あのナイフにかかっていた呪の種類は位置を発信する程度の代物。故に害は無いと見逃したのだが。どうやら黎斗は発信源の空間を冥府から切り取り、ピンポイントで現世に繋ぎ替えたらしい。どれだけ洗練された、熟達した能力なのだろう。権能をここまで自在に扱うその技量には感嘆を通り越してもはや呆れしか出てこない。

「俺を追い出す、とはな。よっぽどこの先の光景を見せたくないと見える」

 皮肉気に笑えば、非常に言いにくそうな顔の男。

「いえ、その。「危ないから避難させろ。借りのある相手をむざむざ殺すのは気が引ける」と」

 盛大に、アレクは顔が引き攣った。

「……な」

「御不興になる話で申し訳ありません」

 平身低頭で土下座する男に当たり散らしてもどうにもならない。非常に腹の立つ話ではあるが、相手は山をも踏みつぶす巨大な白牛を吹き飛ばした男だ。本当に死んでもおかしくない。怒り心頭になるが、剣撃の音が響いてくることから意識をそちらに切り替える。

「他の奴らはどうした」

「羅濠教主は快く戻ってくださいました」

 主の能力を見られなくて残念がっておられましたが「主の願いです」といえば即決でしたよ、などと人の悪そうな顔で笑う男。

「アテナ様はサルバトーレ卿と交戦しておりまして。主にはアテナ様を戻すように言われており、サルバトーレ卿は特に言及が無い様子でした。よってアテナ様だけ戻させて頂こうと思ったのですがお二人を引き剥がすのは我々では不可能ですので、お二方共、こちらに戻させていただきました」

 ならば、剣劇の原因はそれか。

「スミス様もこちらです」

「まったく、最後においしいところをもっていくなんて酷い男だと思わないか? これではまるで私たちは道化じゃないか!」

 男の言葉に続けるように、大仰な、どこか芝居がかった仕草で仮面の男がやってくる。

「はっはっは、申し訳ありません」

 苦笑と共に、男の輪郭が、揺らぐ。

「どうした?」

「主が、動かれるようです。呪力を集める為に四方に飛ばした(われわれ)を回収しているのかと」

 その言葉に、背筋が冷える。あの途方もない呪力ですら、足りない?

「彼は何をしようとしているのだね?」

「さぁ。私にも詳しい原理はわかりません。「惑星を吹き飛ばす技」らしいのですが。申し訳ありませんが詳しいことは主にお聞きになってください」

「!!?」

 最後に不吉な言葉を残し、隻眼の男は消失する。後に残ったのは、彫刻と化した魔王二人。
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