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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第四十話  相性
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内部闘争から占領地を放棄する例は歴史上珍しくありません。同盟軍はそこまで考えてゲリラ戦を展開していると思います。なぜなら、同盟軍の跳梁を抑えるためには彼らを罠にかけ誘引し殲滅するしかないからです。そして彼らを罠にかけるにはローエングラム公自らその命を的にするのが最善の策です。同盟軍はそこに活路を見出そうとしていると考えられます」

彼方此方で呻き声が上がった。皆が顔を強張らせている。胆力に優れたルッツも顔色が悪い。思った以上に帝国軍の状況は良くない。そして反乱軍は周到に作戦を立てている。ヤン・ウェンリーか、容易ならぬ敵だ。頭領は一体どうやってこの苦境を乗り切ろうと言うのか。突拍子もない作戦、メルカッツ閣下も驚いた作戦とは何なのか……。

「ここまでの現状分析について異論の有る方、疑問の有る方は?」
「……」
黒姫の頭領が大広間を見渡したが皆無言だった。それを見て頭領が一つ頷くと言葉を続けた。

「ではこれから私が考えた作戦案を説明します。先ず、四個艦隊を以って惑星ウルヴァシーを守り、残りの艦隊は同盟軍の補給基地の破壊に向かいます。ウルヴァシーを守るのはルッツ提督、ワーレン提督、キルヒアイス提督の艦隊、そしてローエングラム公の直率艦隊」
大広間がどよめいた。ローエングラム公の艦隊をウルヴァシーに残す? 一体何を考えている。ルッツ、ワーレンを見た。二人とも驚愕を隠そうとしていない、予想外の事態だろう。

「頭領! それは一体どういう事です。先程頭領は反乱軍の狙いはローエングラム公を戦場で斃す事だと言った。それではみすみす反乱軍の……」
「キルヒアイス!」
言い募ろうとするキルヒアイス提督をローエングラム公が制した。頬が紅潮している。興奮しているのだろう。

「戦場に居る以上私は戦いを避けるつもりはない。ヤン・ウェンリーと決着を付けるか……。望むところだ、続けよ」
黒姫の頭領がローエングラム公に一礼した。もう一度ルッツとワーレンに視線を向けた。二人とも緊張している、内心では厄介な事になったと思っているだろう。

「危惧されるのは尤もと思います。しかし我々は先ず同盟軍を誘引しなければなりません。その点において我々が同盟軍の前に提示できるのはローエングラム公とこの惑星ウルヴァシーに有る補給物資だと思うのです。両方失えば帝国軍は非常な窮地に陥る、おそらくは撤退という事になるでしょう。同盟軍はこの誘いから逃げられない……。如何ですか?」

皆が渋々頷いた。確かに頭領の言う通りではある。だがローエングラム公が戦いを望んでいるから黙っているのであってそうでなければ口々に非難をしたに違いない。
「補給基地を攻略した各艦隊はウルヴァシーに帰還、ウルヴァシーの留守部隊とともに押し寄せた同盟軍を包囲殲滅する……」

頭領が皆を見渡した。反
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