第二十五話「ようは自殺志願者ですね、わかります」
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レイくんが行方を眩ませたあの日から三日が過ぎた。
あの日――レイ君の好物である甘口カレーを作って帰りを待っていたあの日、彼は帰ってこなかった。
リアスと一緒に深夜一時まで起きていたけれど寝落ちしてしまったらしく、起きたら一通の置手紙だけが残されていた。
『友達のところに行ってきます。元気でね』
これだけならお友達の家に一泊するだけだろうと思うけれど、最後の一言がやけに目についた。
それからレイくんの家で彼の帰りを待ったけれど、一向に姿を見せることは無い。日に日にレイくんの身に何か起きたのではと不安がせり上がる。
リアスも連日で家を空ける彼が気になるのか、最近は落ち着きがない。
――それにしても、この家はこんなに静かだっただろうか?
レイくんの家にお邪魔してまだ一週間くらいしか経過していないけれど、毎日が賑やかだった。それが今では火が消えたかのように、シンと静寂に包まれている。
理性の中では彼は大丈夫だと囁いている。彼は私たちでも把握できない領域に立っている。その力は小さく見積もっても魔王級。
しかし、心は彼が気になって仕方がない。変な人の後をついていっていないだろうか? ちゃんとご飯は食べているだろうか? 体調を崩していないだろうか?
不安が消えては過り、消えては過る。
学校に行っても彼の姿は見えたらない。部室に行っても愛らしい「お姉ちゃん」という声が聞こえない。
部員の皆も姿を消したレイくんを心配している様子だった。
特に彼の親友であるイッセーくんはうろうろと落ち着きのない様子を見せ、小猫ちゃんは顔には出していないけれど態度でイラついているのがよく分かる。アーシアちゃんもお友達であるレイ君の身を案じている。
そして、祐斗くんは――。
「――っ! こんな時になんでこんなっ……!」
イライラを隠そうともせずにリアスが呟いた。
いつもの部室にはリアスにアーシアちゃん、イッセーくん、小猫ちゃんが集まっている。しかし、この場にはレイくんの他にもう一人、祐斗くんの姿も見当たらない。
それもそのはず、彼は……。
「『はぐれ』にしろですって? 冗談じゃないわっ!」
この間、イッセーくんの家で行われたオカ研会議。今思えば、そこで披露されたイッセーくんのアルバムを皆で拝見した時から、事態は動いていたのですね。
裕斗くんの過去に深く関わる、とある物がその写真にはあったのだから……。
『はっきり言うよイッセーくん。僕は復讐のために――それだけのために生きている。忌まわしき聖剣、エクスカリバーを破壊することが
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