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SAO─戦士達の物語
GGO編
百十九話 これからもよろしく
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死銃氏の本名は新川昌一。19歳だ。今はまだこれしか分からないから、他の情報はわかり次第追々つたえるよ。それじゃ、後少しだが気を付けてくれ。またね。


『……おいおい……』
一体全体どういう事かと涼人は困惑した。新川昌一。名前はともかく、その名字ははっきりと涼人の記憶に残っている。名前や歳の部分から見て、あの二人が兄弟だと言う線も有るかも知れない。
だとしたらやはり恭二は詩乃を……?いや、それなら何故……

そんな考えを巡らせ、背後への注意が疎かになっていたせいも有るだろう。その声が響くまで、涼人は後ろに彼女が立っている事に気が付かなかった。

「りょう兄ちゃん、それ……」
「……っ、あぁ……」
背後から涼人の携帯端末の画面を見た詩乃の瞳には、明らかな動揺の光が宿っている。彼女は涼人の前に回ると、テーブルにコップを起きながら聞いた。

「ど、どういう事?死銃の本名が、新川って……」
「んん……俺にも分からん……」
しかし、この時点ではまだ、詩乃の動揺はそれ程大きくは無かったと言えるだろう。
先ほどの恭二は特に何事も無く帰ったのだし、可能性は高くないにせよ、犯罪者の名字が知人と偶々同じであるなどと言うことはあり得る事ではある。

その動揺が一気に膨れ上がったのは、彼女が涼人の前に腰を下ろした……その時だった。
ついさっき、恭二とも、位置は逆ながら同じ様な形で座っていた。間に置かれた二つのケーキと、いつものようにはにかんだように笑う恭二。しかし、一つ記憶に引っかかっている部分がある。

……あの時“恭二の手は何処にあった?”

確か、ジャケットの中に有ったはず。と、其処まで思ってから、詩乃は目の前に座る青年を見直す。涼人は既に上着を脱いで、パーカー姿になっていた。しかし先程まで此処にいた恭二はと言うと、そう言えば帰るときまでジャケットを脱いで居なかったように思う。
来たとき彼はある程度息を切らしていた、それならば身体も多少なりあったまって居たのではあるまいか。ならば普通は無意識の内にジャケットを脱ぐ筈。それをしなかったのはつまり、熱く無かったから?それとも……其処まで考えると同時に、詩乃の中で涼人と和人が組み上げた考えが次々に繋がる。
毒薬、注射器、入手法……病院。

まさか、と思考が組み上がり、もし、もしもそうならば何故、と自問する。
しかしどんなに考えたとしても、何故恭二が其処までの行動に出るのか、詩乃には明確な心辺りが無い。初めに殺されたと言うゼクシードにはともかく、それ以外の人物、増して、自分を殺す理由など彼には……しかし、更に思考の進んだ先に、つい先ほど、帰ると言いだした恭二が立ちあがった際に感じた、言いようの無い不安の渦のような物が頭に浮かんだ。もしかしたら、
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