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男女美醜の反転した世界にて
反転した世界にて8
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―当初の予定では、朝一で白上さんにコンタクトを取り、デートのお誘いをぶちまけるつもりだったのだけれど。
 早速第一段階から頓挫することとなる。

「(…………?)」
 
 教室の扉を開けた途端、空気の読めない僕ですらわかるくらいに、何やら教室の雰囲気が重苦しい。
 先日、白上さんのお弁当を作ってきた時とはまた違う。何とも“いやな”感じ。誰もがナニカに気を使って、声を潜めているようなそんな空気。
 その原因はなんだろうと考えて、それっぽいナニカを見つけた。

「――、ね? ――ら、……なさいよ」
「……、……」
「――じゃ、……しょうが! ――、…から!」

 なんかもう、すごくおげちゃな女子に、形容しがたい造形の女子(以後、クトゥルフ系女子とする)に、西洋風の重装備みたいな脂肪に包まれている女子(以後、肉鎧女子とする)の三人に囲まれて、何やら楽しそうに会話をしていた。見覚えのある姿ではないので、間違いなく他クラスの女子だろう。
 ――よくよく見ると、楽しそうにしているのは白上さんを除いた三人だけだ。話しかけられている白上さんは、顔は笑っているのだけれど、あんなに陰った笑顔を、僕は今日まで見たことがない。
 何の話をしているのか。気になることは気になるのだけど、しかし、あちらは女子。僕は男子。途中で会話に割り込んだりしていいものか。

「――やって、――にて……、――んの?」
「……、……」

 ここからでは、なんの話をしているのかはほとんど聞き取れない。特に、白上さんの声なんて全く聞こえなかった。
 ……もうちょっと近づけば聞こえるかなぁ、とか。でも、あんまり寄りすぎて、聞き耳を立てていることに気がつかれたりしたら、いやな感じだよなぁなんて。
 悶々と考えながら躊躇していると、白上さんが僕のことに気がついてくれた。

「あ、おは――」
「あぁっ! 赤沢さん、おはよーっ!」

 しかし、白上さんが声を発するよりも先に、おげちゃ女子たち三人が手を振りながら大声を上げた。
 ぶっちゃけ勘弁してほしいとか思っちゃったのだけど、しかしあからさまに無視をするというのも感じが悪いので、適当に返事だけはしておくことにした。

「……おはよ」

 恐らく、僕の「おはよう」という声は、向こうにまでは届いていなかったはずだ。
 しかし、僕の表情(白上さんに向けた笑顔)が功を成したのか、こちらの思惑は何とか伝わっていたようで。 
 三人は満足そうに顔をゆがませて歯をむき出した(完全に威嚇)あと、白上さんの方へと向き直る。

「――ね? ……、しょう? ――ら」
「――たら、……わよね?」
「…………」

 そのまま自分の教室に帰ってくれないかなぁなんて。僕の心の呟きは、おげちゃ女子たちに届くことはなかっ
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