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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第七十八話 ゼーアドラー(海鷲)
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けるかのように低く底冷えのする声が聞こえた。

「細かいところまで見る必要はない。相手の用兵の癖が分かればいいんだ。データ量はむしろ多い方が良い」
「クレメンツ……」
クレメンツ副参謀長はテーブルに置いてあるグラスを見据えていた。そしてミュラー准将の声が耳に流れた。

「その通りです、エーリッヒは言っていました。自分が宇宙艦隊司令長官ならビッテンフェルト少将とファーレンハイト少将を戦略予備として扱うと。最終局面で投入すればどんな敵も粉砕してくれるだろうと……」
「……」

皆、顔を見合わせていた。誰も口を開こうとしない。評価されたビッテンフェルトさえ黙っている。十を数えるほど時間が経ってからロイエンタールが口を開いた。

「どうやら冗談ではなく本当に遺書と墓碑銘が要るようだ」
誰も笑わなかった。否定もしなかった。ただ黙って聞いていた……。皆俺と同じ事を考えていただろう。ヴァレンシュタインを相手に勝つ事は難しいだろう。そして生き残るのは勝つ事以上に難しいに違いない……。




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