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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第109話:隊舎復活
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2月に入り、とうとう隊舎の工事が完了し、新隊舎での業務が始まる日が来た。
この1週間、アースラからの引っ越し作業に追われながら、
同時に俺の自宅から寮への引っ越しも進めるという多忙な日を過ごしていた。
その甲斐あって、俺もなのはもヴィヴィオも数日前から寮生活に戻っている。

かくして、今の俺は隊舎の完工式の準備を指揮している。
といっても、去年の春に行った6課の結成式と変わり映えするものでもなく
当日になってしまえば、ホールにお立ち台とマイクを用意する程度のもので、
それはグリフィス達が着々と進めている。
そんなわけで俺自身は、ホールのベンチに腰掛けて準備の様子を眺めながら
ジュースを啜るという、いかにも暇人的な状況に置かれている。

「こらこら。副部隊長ともあろうもんがサボりはいかんで」

背後から声をかけられ、背中を反らせて後ろに目を向けると、
腰に手を当てたはやてが立っていた。

「サボりじゃないっての。若いのが頑張ってくれてて、俺が手を出す余地が
 ないから、静かに見守ってんの」

「ほほう、そうかいな・・・」

はやてはそう言うとホールの中をぐるりと見まわして、小さく頷くと
俺の顔に目線を戻す。

「確かにゲオルグくんが出る幕はなさそうやね。こら失礼」

「判れば結構」

俺ははやてに向かってそう言うと、にやりと笑って見せる。
対するはやても、俺に向かって意地悪そうな笑いを見せた。
背中をそらしっぱなしだった俺は、さすがに辛くなってきたので
ベンチから立ち上がると、はやての隣に立った。

「で、我らが部隊長殿は感動的な挨拶のご準備はお済みかな?」

「とーぜん。ま、期待しとき」

はやては胸を張るようにしてそう言うと、ニヤリと笑う。
だが、次の瞬間には真剣な表情を作っていた。

「ところで例の会議やけど、式が終わったらすぐ行くから、
 そのつもりにしといてや」

「ああ、判った」

「頼むで」

俺が頷くと、はやては満足げな笑みを浮かべて離れて行った。

「よろしいですか?」

はやての背中を目で追っていると、再び背中から声をかけられた。
振り返ると、グリフィスが立っていた。

「どうした? 何か問題でも起こったか?」

「いえいえ。完工式典の準備が完了しましたので、報告を」

「おっ、そうか。早いな」

「そうですか? 特に急いだというわけでもないんですけどね
 まあ、みんなが頑張ってくれたおかげですね」

「それもあるだろうけど、グリフィスの仕切りがよかったんだよ。
 ご苦労さん。 まあ、式典が始まるまで少しだけど休んでてくれ」

「はい、ありがとうございます」

グリフィスは俺に向かって軽く頭を下げると
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