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緋弾のアリア 同居人は旅の魔法使い?
第1弾 『私は欠陥品さ』
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み――なんとなく、ここからの展開がジャンヌには予想できた。キンジがうんと言うまで帰るつもりは無く、キンジが重そうに入れていたトランク……この二つが在れば、もう簡単に想像する事が出来る。

「言わないなら、泊まってくから」

「……はぁ!? なに言ってんだ!! 絶対ダメだ!! 帰れうぇっ」

最後の方は、驚きのあまり食べた夕飯をリバースしかけたキンジが、それを強引に押し戻すところである。

「うるさい!! 泊まってくったら、泊まってくから!! 長期戦になる事態も想定済みよ!!」

言いながら、指を差す先にはアリアのトランクが在る。やはり、宿泊セットだったらしい。

……しかし、腑に落ちないな。キンジとアリアの会話を尻目に、そうジャンヌは考えていた――彼女は、何をそんなに焦っている?

「――出てけ!!」

叫んだのは、本来その言葉を言う権利が在る筈のキンジではなく……アリアだった。

「な、なんで俺が出てかなきゃいけないんだよ!! ここはお前の部屋か!?」

「分からず屋にはお仕置きよ!! 外で頭冷やして来なさい!!」

「お前なぁ!!」

「――キンジ」

白熱する二人の喧嘩をピタリと止めたのは、今まで動こうとしなかったジャンヌの凛々しい声。そうして、ちょいちょいっと手でキンジを手招き。訝しげなキンジも、気心の知れたジャンヌだからか、素直に従って耳元で言葉を受けた。

「ここはアリアの言う通り、少し頭を冷やしてこい。その間、アリアの相手は私がしておく。あぁそれと、少ししたら授業で遅れた筈の白雪が来るだろうから、それも外で対応してやれ。もしアリアと鉢合わせしたら、面倒だからな」

ほれ、財布。と手渡された財布を受け取りながら、キンジは「お、おう……」と頷き、大人しく玄関へ向かうキンジ――なんか、母親みたいだな……とか思ったのは、秘密だ。

一方、自分が言っても聞かなかったキンジが、ジャンヌに何か言われた途端あっさりと承諾して出ていった事に、ポカーンとなっているアリア。そのアリアをサファイアブルーの瞳で見つめ、ジャンヌは唐突に切り出した。

「――アリア、何をそんなに焦っている?」

彼の問い掛けに、一瞬で表情を驚きに変えるアリア。その表情だと、彼の予想は間違っていなかったようだ。

「お前がパートナーを、こんな強引な方法で求める理由はなんだ? お前ほどの武偵なら、ここまで急にパートナーを求める必要も在るまい。不要、と言う訳では無いだろうが、Sランク武偵のお前に見合うだけの武偵をゆっくりと探して行けばいい――在るのだろう? 急がなければならない、理由が」

「……ジャンヌ、アンタ何者?」

「なに、ただの同居人だ。私の推理だと――本当に急ぐのは、一定の“期間”でしなければならない
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