暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
真実
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すか……団長………?」

戸惑ったようなアスナの声に、ヒースクリフは答えなかった。ただ、厳しい表情でじっとキリトを見据えている。キリトが両手に剣を下げたまま、口を開いて静寂を破る。

「これが伝説の正体だ。この男のHPはどうあろうと注意域(イエロー)にまで落ちないようシステムに保護されているのさ。………不死属性を持つ可能性があるのは………NPCでなけりゃシステム管理者以外ありえない。だが、このゲームに管理者はいないはずだ。唯一人を除いて」

言葉を切り、キリトは上空をちらりと見やる。

「………この世界に来てから、ずっと疑問に思っていたことがあった……。あいつは今、どこから俺達を観察し、世界を調整してるんだろう、ってな。でも俺は単純な真理を忘れていたよ。どんな子供でも知っていることさ」

キリトは紅衣の聖騎士に真っ直ぐ視線を据え、言った。

「《他人のやってるRPGを傍から眺めるほどつまらないことはない》…………そうだろう?茅場晶彦」

全てが凍りついたような静寂が周囲に満ちた。レンの脳裏で、全ての歯車がカチリと合わさるのを感じた。

思い出されるのは、今となっては遥か昔。五代目《災禍の鎧》討伐戦の前に、ノエルに言われた一言。

……ヒースクリフには、気を付けて

ガチリ、とレンの脳裏に先ほどのヒースクリフの表情がリフレインする。

穏やかだったあの表情。無言で、床にうずくまるKobメンバーが他のプレイヤー達を見下ろしている。暖かい、慈しむような視線。

言わば───

精緻な檻の中で遊ぶ子ねずみの群れを見るような。

その刹那、レンの全身を恐ろしいほどの戦慄が貫いた。どっと背中に冷たい汗が噴き出す。

ヒースクリフは無表情のままじっとキリトに視線を向けている。周りのプレイヤー達は皆身動き一つしない。いや、できないのか。

キリトの隣でアスナがゆっくりと一歩進み出た。その瞳は虚無の空間を覗き込んでいるかのように感情が欠落している。

その唇が僅かに動き、乾いた掠れ声が漏れた。

「団長………本当……なんですか…………?」

ヒースクリフはそれには答えず、小さく首を傾げるとキリトに向かって言葉を発した。

「………なぜ気付いたのか、参考までに教えてもらえるのかな……?」

「………最初におかしいと思ったのは例のデュエルの時だ。最後の一瞬だけ、あんた余りにも速過ぎたよ」

キリトが言う例のデュエル、とは恐らく二、三週間ほど前のキリト対ヒースクリフ戦のことだろう。理由はあんまり覚えていないが、アスナ云々だった気がする。

「やはりそうか。あれは私にとっても痛恨事だった。君の動きに圧倒されてついシステムのオーバーアシストを使ってしまった」

ヒースクリフはゆっくり頷くと、
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