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とある誤解の超能力者(マインドシーカー)
第4話 弱ビリビリ
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牧石は、保健室に運ばれた日の翌日には、普通に体が動くようになり、通常通り登校していた。

ただし、登校してからが、問題であった。
「……」
「……」
教室の中で、牧石ともう一人の牧石との間で、無言の緊張が走る。


「ケンカはやめて、ふたりをと……」
「目黒、それ以上は言うな」
「いろいろな意味でまずい」
目黒の制止の言葉に対して、二人の牧石は嫌々ながら協調体制をとった。

「俺の為に……」
「争うか!」
「違う!」
二人の牧石は、目黒を押さえつけようとする。
ようやく、目黒を制止させることができた、牧石はふと考えた。
自分たち2人を同時に相手ができる目黒はひょっとしたら、相当に強いのではないかと。
牧石は、もう一人の牧石と超能力と相性が良い音楽について激論を交わす目黒に対して畏怖を覚えた。


二人の牧石問題については、結局、1年C組に机を一つ取り寄せて増やすことで、当面の問題を
回避することになった。
ただ、同じ名前の生徒が二人いることで、呼び方が混乱することになる。
頭の薄い学年主任の男が、「どちらかが別のクラスに移動したらどうか」と、提案したのだが二人とも即座に「偽物のために、どうしてクラスを変える必要があるのか」と言って拒否した。

幸い、見た目が違うことから、呼び名以外で二人を間違えることはないため、これまでいた牧石を「牧石」と呼び、もう一人の牧石を「啓也」と呼ぶことで、当面の混乱を避けることになった。

一方で、クラスメイトの牧石たちに対する反応はというと、大きく二つに分かれた。
クラスメイトの男子たちは、二人の牧石に対して分け隔て無く接している。

一方で、女子たちは、啓也の方に注目を集めていた。
「ねえ、啓也君。空を飛んで見せてよ」
「やっぱり、背中の飛行ユニットは自在に制御できるの?」
「啓也君は、人を乗せて運んだりすることができるの?」
「それだったら、お姫様だっこすればいいのよね」
「なに、抜け駆けしようとするのよ!」
「抜け駆けではないわ。
私が体を張って安全を確認するのよ!」


啓也と、女子たちとのやりとりをながめながら、牧石は目黒に質問する。
「なあ、目黒よ?」
「どうした、牧石」
「どうして、俺とあいつとで扱いが違うのだろう?」
「顔?」
目黒は、牧石に核心をつく答えを返す。

「たしかに、あいつはさわやか系のイケメンかもしれない。
それでも、ここまであからさまに差がつくなんて、おかしいよ!」
牧石は目黒に抗議する。
「仕方がないことだ」
「仕方がないだと?
どういうことだ」
牧石は、目黒に詰め寄る。
「牧石、お前にもロリコン疑惑が生じたのだ」
「ロリコン疑惑、だと……」
牧石は顔を青くする。


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