第7話 終業式
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「今日で1学期は終わりだ。
先生が言いたいことは二つ。
課題を忘れないこと。
そして、2学期には、無事な顔を見せること。
以上!」
担任の先生は、一学期最後のSHRを約8秒でまとめた。
「さすが先生、話がわかる!」
目黒は賞賛の声を上げる。
期末テスト終了から終業式という、比較的緩やかなこの時期に、目黒ほど忙しい状態の生徒はいなかった。
普通の高校であれば、夏の全国大会に向けて部活動が慌ただしくなるはずであるが、基本的にサイキックシティ内のクラブ活動は全国大会に出場できない。
昔は、ゲスト参加したクラブもあったようだが、結局レベルが違うので呼ばれなくなった。
それでも、200万以上の人口を抱えるこの都市には、多くの学校が存在するので対戦相手には困らない。
ともかく、目黒の疲労がたまっていることを知っているクラスメイトたちは、滝山マリヤと親しくしているという事に対する嫉妬を差し引いても、目黒の叫びに暖かい視線を送っていた。
「はい、目黒君は残念でした。
明日から、2週間毎日学校に来るように」
「待ってください、先生。
僕は何も悪くないですよ、今度も」
目黒は、先生に対して抗議の声をあげる。
目黒は、終業式が終わった直後、
「夏休みに入ったら、家から出ないことに決めたんだ……」
という、死亡フラグのような事を言っていた。
言葉の持つ力の恐ろしさについて、牧石達は改めて思い知らされた。
「ええ、少しは情状酌量の余地はあると思うけど、規則は規則だからね。
もう少し点を取ってくれたら、補習を受ける事もなかったでしょうに」
「あ〜、そういえばそうでした」
目黒は、手を額に押し付けながら思い出す。
「目黒君よく忘れられるわね。
自分のテストの成績を」
担任は、少し視線をきつくした。
もともと、牧石の成績はあまり良くなかった。
中間テストは、赤点をぎりぎり回避した程度の点数だった。
そのまま、勉強に打ち込めば良かったのだが、詐欺事件に関わり、編入生イベントを企画し、ようやく事件が解決したとおもったら、様々なイベントに巻き込まれてしまっていた。
そのような状態で満足に勉強できるはずもなく、補習授業が組まれたのは、ある意味しかたがないだろう。
成績への評価は、事件解決によってある程度加味されるという事であったが、補習は補習という事のようだった。
ちなみに、牧石は委員長のおかげでテストの点が良かったことから、補習は免れることになった。
ただし、当初の予定である夏休み中にレベルをあげるために特訓する計画は、流されてしまった。
「とにかく、ちゃんと補習に出なさいよ。
以上、解散」
担任の号令により、生徒達は散り散りになった。
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