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とある誤解の超能力者(マインドシーカー)
第7話 破綻
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の性格に対して、牧石は何かを言いかけてやめた。
この男に何を言っても、絶対に自分本意の性格が直ることはないだろうから。


今日の出来事は、おそらく明日の朝刊にはニュースとして伝わることになるだろう。
ひょっとしたら、もう少しすれば電子情報で速報が、流れるかもしれない。



「目黒、電車が到着したようだ」
「ああ」
牧石と目黒は、多くの乗客と共に電車に乗り込んだ。
国際線が到着した影響か、乗客の中には多くの外国人の姿が見られた。


「なあ、目黒」
動き始めた電車の中で、牧石は目黒に話しかける。
普段は目黒から話しかけることが多かったが、警察を出てからはほとんどしゃべることはない。
「どうした、牧石」
「どうして、目黒はそこまでしなければならなかったのだ?
普通なら、羽来が怪しいと思えば、警察に相談するだけで十分だと思うぞ」
「そんなことはない、あの状態では警察は動けない。
怪しいと思うかもしれないが、被害が出ていない以上、逮捕までは踏み切れない。
逆に羽来に知られれば、証拠隠滅を優先し、被害がわからなくなる可能性もある。
もっとも、牧石が記録したデータのことを知っていれば、山場市議が警察に働きかけることも期待できたのだけどね」
目黒はため息をつく。

「いや、僕が聞きたいのはそんなことではない。
目黒がそこまで、動かなければならないと思っている理由が何かが聞きたかったのだ」
「……」
「別に無理して話す必要はないよ。
ただ、目黒が無理をしてないか、心配しただけだ」

目黒は牧石の言葉に強く反応し、そしてゆっくりと話し始めた。
「いや、あまりおもしろい話でもないし、長い話の割にオチもないから、ためらっただけだ。
なので、簡単に端折ると二つ理由がある。
ひとつは、この事件で学校が暗くなるのがいやだということ。
もう一つは俺の親が詐欺にあったことだ」
「そうか……」
「まあ、俺に借金の取り立ては来ないし、ここで生活する分には問題ないからね」
「そうか……」
牧石は、いろいろ言いたいこともあったが、
結局何も言えなかった。

「だから、辛気くさい顔をするな」
目黒は、笑顔で話しかける。
「そうだな」



やがて二人が乗った電車は、地下から地上に顔を出す。
高度に発達した都市の外観が、イルミネーションと共に姿を見せる。
観光客と思われる何人かの外国人が、歓声を上げながら熱心にカメラを窓に向けていた。



「なあ、目黒」
「どうした、牧石」
「ありがとな、気を使ってもらって」
牧石は、目黒に向かってお礼を言った。
「何の話だ?」
「転校初日の事だ」
「……」
目黒は黙っていた。

「誰も、僕に話しかけなかった。
最初は、他の転入生に
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