暁 〜小説投稿サイト〜
機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第107話:当直生活
[1/6]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

地球から帰ってきた翌日、俺は一人で普段より1時間早く家を出た。
隣になのはを乗せる普段よりも1割増しの速度で港湾地区に向かって
車を走らせた結果、普段よりも10分ほど短い時間でアースラの前に着いた。
車を降りると強い風にあおられ、コートの裾がはためく。
冬になると港湾地区は冷たく強い風が吹き抜けるので非常に寒い。
コートのポケットに手を突っ込んで、少し背を丸めてアースラに向かって歩く。
メインハッチに上がるスロープの下には、警備の人員が立っているのだが
彼らも寒そうに足踏みしている。
俺が近づいていくと、彼らは背をピシッと伸ばした。

「おはようございます。副部隊長」

「おはよう。寒い中ご苦労さん」

「いえ。副部隊長も当直御苦労さまです」

「まあ、年末はずいぶん休ませてもらったからな。
 これくらいはやっておかないと部隊長にブッ飛ばされるさ。じゃあな」
 
俺は彼らに軽く手を振ってスロープを上がる。
メインハッチをくぐると、暖房が効いていて暑いくらいだった。
通路を通って副長室に行くと、コートをハンガーにかけて席に着く。
端末を立ち上げると、大量のメールが届いていた。
俺は小さくため息をつくと、端末を抱えて艦橋へと向かった。
副長室から艦橋へは目と鼻の先の距離にあって、ゆっくり歩いても
1分もかからない。
俺はすぐに艦橋に着くと、ドアを開けて中に入った。
艦橋には何人かのスタッフが席についていたが、戦闘中のように
目の前の装置にかじりつくような様子は見られない。
人員も索敵と通信、そして艦内環境維持に必要な最低限の人員しか
配置されておらず、その数少ない人員も、時折自分の前にあるモニタを
目を向けながら、何か別のことをしているようだ。

俺はそんな光景を横目で見ながら、艦橋の中で最後方にある艦長席へと
歩を向ける。
艦長席には難しい顔で端末を睨むはやてが座っていた。

「よう、はやて。おはよう」

俺がそう声をかけると、はやては俺の方をちらっと見る。

「ん、おはよう。早いやん」

「まあな。一人で来るから身軽だし」

「ふーん」

はやては端末に目を向けたまま、生返事を返してくる。
俺がその場に突っ立っていると、はやてが端末をパタンと閉じて、
俺の方に顔を向ける。

「何をボーっと立ってんねんな」

「当直の引き継ぎは?」

「昼までは私もおるし、午前中にはやるから、もうちょっと待って」

「了解。ならそこらへんで適当に仕事するわ」

「そうして。ほんならね」

はやてはそう言うと、再び端末を開いた。
俺は近くの空いているオペレータ席に腰を下ろすと、端末を開いて
溜まったメールを処理し始める。
30分ほど作業を続けている
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ