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アルジェのイタリア女
第一幕その三
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女の子には強いのにな」
「全くだぜ」
「とほほ」
「ちょっとタッデオさん」
 あまりにも自国の男がけちょんけちょんに言われるのでイザベッラはたまりかねてタッデオに声をかけてきた。
「ちょっとは言いなさいよ」
「けどさ」
 だが彼にはどうも言い返せない。奴隷にされて落ち込んでいるのである。
「もう、情けないんだから」
「随分の気の強い娘さんだな」
 ハーリーがそんなやり取りからイザベッラに気付いた。
「ええ、それで手を焼きましたよ」
「船の中でもこんなので」
「大変だったんだな」
「まあ」
「しかし」
 彼はここでイザベッラの顔を見た。
「美人だな、えらく」
「有り難う」
 イザベッラはその言葉に気をよくして気取ったポーズをとる。
「これはいい。ムスタファ様に献上しよう」
「ムスタファ様って?」
「ここの領主様だ。知らないのか」
「ええ、残念だけど」
 タッデオとは全く違いしれっとした顔で返す。
「イタリアならともかくね」
「気が強いな。まあいい」
「嫌だって言えば?」
「ここからイタリアまで泳いで帰ってもらう」
 ハーリーも負けじと言い返す。

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