暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
Dear days
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は、左手を振ってマップを表示させると、シンカーの現在位置を示すフレンドマーカーの光点を示した。

このダンジョンのマップが無いため、光点までの道は空白だが、もう全体の距離の七割は詰めている。

「シンカーの位置は、数日間動いていません。多分安全エリアにいるんだと思います。そこまで到達できれば、あとは結晶で離脱できますから……。すみません、もう少しだけお願いします」
 
ユリエールに頭を下げられ、キリトは慌てたように手を振った。

「い、いや、好きでやってるんだし、アイテムも出るし……」

「へえ」
 
アスナは思わず聞き返した。

「何かいいもの出てるの?」

「おう」
 
キリトが手早くウインドウを操作すると、その表面に、どちゃっという音を立てて赤黒い肉塊が出現した。グロテスクなその質感に、アスナは顔を引き攣らせる。

「な……ナニソレ?」

「カエルの肉! ゲテモノなほど旨いって言うからな、あとで料理してくれよ」

「ぜったい嫌よ!!」
 
アスナは叫ぶと、自分もウインドウを開いた。キリトのそれと共通になっているアイテム欄に移動し、『スカベンジトードの肉×24』という表示をドラッグして容赦なくゴミ箱マークに放り込む。

「あっ! あああぁぁぁ……」

世にも情けない顔で悲痛な声を上げるキリトを見て、我慢できないといったふうにユリエールがお腹をおさえ、くっくっと笑いを洩らした。

その途端。

「「お姉ちゃん、初めて笑った!」」
 
マイとユイが綺麗にユニゾンして嬉しそうに叫んだ。彼女達も満面の笑みを浮べている。

アスナもそれを見て笑い、二人をぎゅっと抱きしめる。

「んじゃ、行こっか」
 
気負いの欠片もないレンの声に、一行は再びさらなる深部を目指して足を踏み出した。
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