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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
Dear days
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……」

ユリエールはそこで言葉を切り、気がかりそうな視線をちらりとキリトの腕の中のユイ、そしてレンと手を繋いでいるマイに向けた。

するとユイとマイは心外そうに顔をしかめ、

「ユイ、こわくないよ!」

「マイ、こわくないよ!」

と主張した。そのあまりにも酷似した様子に、レン、アスナ、キリトの口元に朗らかな笑みが浮かぶ。ここら辺は、本当の双子なんだなあ、と思う。

いまだ心配そうなユリエールに、アスナは安心させるように言った。

「大丈夫です、この子、見た目よりずっとしっかりしてますから」

「うむ。きっと将来はいい剣士になる」

キリトの発言に、アスナとレンは目を見交わして笑うと、ユリエールは大きくひとつ頷いた。

「では、行きましょう!」










「でええええええええ!」
 
右手の剣でずば―――っとモンスターを切り裂き、

「りゃあああああああ!」
 
左の剣でどか―――んと吹き飛ばす。
 
初めて見たキリトのユニークスキル《二刀流》は、なるほどこの手数ならばと納得できる勢いで次々と敵を蹂躙しつづけた。

ユイの手を引くアスナと、マイと手を繋ぐレン、金属鞭を握ったユリエールには出る幕がまったくない。

全身をぬらぬらした皮膚で覆った巨大なカエル型モンスターや、黒光りするハサミを持ったザリガニ型モンスターなどで構成される敵集団が出現する度に、無謀なほどの勢いで突撃しては暴風雨のように左右の剣でちぎっては投げ、ちぎっては投げであっという間に制圧してしまう。

アスナとレンは「やれやれ」といった心境だが、ユリエールは目と口を丸くしてキリトのバーサーカーっぷりを眺めている。

彼女の戦闘の常識からは余りにかけ離れた光景なのだろう。マイやユイが時折歓声を上げているので尚更緊迫感が薄れる。

暗く湿った地下水道から、黒い石造りのダンジョンに侵入してすでに数十分が経過していた。予想以上に広く、深く、モンスターの数も多かったが、キリトの二刀がゲームバランスを崩壊させる勢いで振り回されるため女性二人と子供三匹には疲労はまるでない。

「な……なんだか、すみません、任せっぱなしで……」

申し訳なさそうに首をすくめるユリエールに、レンは素知らぬ顔で答えた。

「いや、あれはもう病気だからねぇ……。やらせときゃいいんだよ、やらせときゃ」

「なんだよ、ひどいなぁ」
 
群を蹴散らして戻ってきたキリトが、耳ざとくレンの言葉を聞きつけて口を尖らせた。

それを見てアスナが意地の悪い笑みを浮かべる。

「じゃあ、わたしと代わる?」

「……も、もうちょっと」
 
アスナとユリエールは顔を見合わせて笑ってしまう。
 
銀髪の鞭使い
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