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トロヴァトーレ
第二幕その四
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第二幕その四

「どうしたんだい?」
 アズチェーナは我が子の只ならぬ態度に問うた。だがマンリーコは彼女に答えはしなかった。
「馬はあるか」
 使者に問うた。
「はい、山のふもとに」
「わかった。ではそれを使わせてもらおう」
「はい」
「その修道院は何処にあるのだ?」
「私が案内致します。御安心を」
「わかった。よろしく頼む」
 彼はそれも聞いて頷いた。
「マンリーコ」
 ここでアズチェーナは我が子の名を呼んだ。
「何だい、母さん」
「一体何をするつもりなんだい、御前は」
「決まってるじゃないか」
 彼は強い声で答えた。
「レオノーラを救いに行く。それ以外に何があるというんだい?」
「馬鹿なことを言うでないよ」
 母は激情にかられようとする息子を叱った。
「そんなことをしても何にもならないよ」
「少なくとも俺にとってはそうじゃない」
 マンリーコはマントを羽織ながらそう答えた。
「だから行ってくるよ。安心して」
「安心できるわけないじゃないか」
 彼女も感情的になってきた。
「御前はあたしの何だい!?」
「息子さ」
「そうだろう、じゃああたしが御前をどう思っているかわかるね」
「勿論」
「じゃあいうよ。傷がなおったばかりのその弱った身体で馬に乗るって?人もいない荒れ道を通るって?冗談じゃないよ」
「それがどうしたっていうんだい」
 しかしマンリーコは母のそうした忠告を聞こうとはしなかった。
「俺にとってレオノーラは全てだ。それを救わなくてどうするんだ」
「あたしにとっては御前が全てなんだよ」
 アズチェーナも引くわけにはいかなかった。
「御前はあたしにとっては血そのものさ。御前の流す血はあたしの血なんだよ」
「それはわかってるよ」
「わかってないから言うんだ。御前がいなくなったらあたしはもう生きてはいられないんだよ」
「それは俺だって同じさ」
 マンリーコは言った。
「俺はレオノーラがいなくては生きてはいられないんだ。今のこの気持ちを抑えることは誰にもできはしない」
「あたしでもかい」
「そうさ」
 彼は強い声でそう答えた。
「だから俺は行く。けれど絶対に帰って来る。だから安心して」
「またそんなことを」
 彼女は彼の身体を掴もうとする。しかしマンリーコはその前に動いた。
「行って来るよ」
「お待ち」
「御免、それはできない」
「マンリーコ!」
 アズチェーナはまた叫んだ。だがそれより前に彼は出た。そして山を降りて行った。アズチェーナはそれを見てただ泣き崩れるだけであった。その姿は悲嘆に支配されていた。
 その修道院はカステルロールの近くにあった。大きな修道院であり中庭もあった。
 そこに男達がいた。マントに身を包み剣を腰にかけている。
「ま
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