第四幕その六
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
うなら。ですから」
もう言葉が消え入りそうになっていた。
「お逃げ下さい。お願いです」
そう言うと遂に事切れてしまった。手がゆっくりと床に落ち目を閉じた。
「レオノーラ・・・・・・!」
マンリーコは彼女の亡骸を抱いて慟哭した。もうそれは冷たくなっていた。
「私は愚かだった。貴女の様な天使を疑い侮辱するとは・・・・・・」
そしてその場に泣き崩れた。だがそれはほんの少しの間だけであった。
「これは一体・・・・・・」
そこに伯爵が入って来たのだ。
「何故彼女が死んでいるのだ」
「毒を飲んだ」
マンリーコはレオノーラの亡骸を抱きながら言った。顔は彼女の死に顔を見たままである。
「私を救い自らの純潔を守る為にな」
「何ということだ」
伯爵はそれを聞いて呆然とした。そしてそれと共に怒りがその全身を包んだ。
「それ程までにその男がいとおしかったというのか!私ではなく!」
そして人を呼んだ。
「誰かいるか!」
「ハッ」
すぐに数人の兵士がやってきた。
「この女を葬れ。そして」
マンリーコをキッと見据えた。その目には最早冷静さなぞ何処にもなかった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ