第十五話「年間の自殺者って三万人らしいよ?」
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ミラと呼ばれた女の子が棍を、俺は拳を構えお互いに駆け出そうとした時だった。
――ゾクッ。
背筋を強烈な悪寒が駆け抜けると同時に、今までに感じたことのないほどの強い殺気を叩きつけられた。あまりの殺気の強さにグレイフィアさんも含め、この部室にいる人たち全員が金縛りにあったかのように動けないでいた。
「…………うにゅぅ……」
のそりとソファーで寝ていたレイが身体を起こす。まだ眠いのか目は半開きであり、手の甲でクシクシと擦っていた。
「むー……うるさいなぁ。だぁれぇ? 僕の眠りを邪魔するのはぁ」
周囲を見回したレイはライザーに目を向ける。
「そこの君、なに火なんか出してるの? 暑いから帰って」
ライザーのこめかみに青筋が浮かんだ。
「リアス、こいつ誰だ?」
「……彼は姫咲レイ。私の協力者よ」
「協力者? この人間が? 下等な人間風情に大した働きは出来んと思うが」
怪訝な顔でレイを見下ろすライザー。
「うるさいなぁ。というか香水臭いし、さっさと帰ってよ。邪魔、あっち行け、シッシッ」
野良犬を追い払うような扱いにライザーの形相が憤怒に変わった。
「貴様ぁ……下等な人間風情が図に乗るなっ! 地獄の業火でもって燃え尽きろ!」
ライザーの手から吹き出した炎がレイへと向かう。
しかし、レイに届く寸前で炎は急に掻き消えた。
「なに?」
自慢の炎が消えて驚くライザー。
「んー、結局なんなのコイツ? もうウザったいから殺しちゃってもいいよね」
レイから発せられる殺気がさらに高まる。ライザーの眷属の中には殺気に当てられ呼吸困難に陥っている人もいるくらいだ。
過去に一度だけ経験したことがある俺はまだマシな方だろう。それでも身体の底から生じる震えは止まらないし、冷や汗が滴り落ちる。見れば他のみんなも似たような反応だった。
「というか、僕の安眠を邪魔したんだから死ぬべきだよね」
いつもの無邪気なレイからは想像もできないような冷たい声。そして、レイの掲げた掌に黒い球体が出現した。
『……相棒、あれはヤバイぞ』
ドライグが話しかけてくる。久しぶりだな。というか、そんなに危険なのか?
『ああ、強い気配に叩き起こされてな。それにしても、恐ろしいまでの魔力が凝縮されている。しかも何らかの概念まで付加されているようだ。いかに不死を司るフェニックスといえど、アレを食らえば一溜りもないぞ』
――マジでか!? ってことは、レイの奴本気かよ!
だけど、俺もレイの殺気に当てられ身体が動か
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