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魔法科高校の神童生
Episode5:つまりはチート
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、鋼には溜め息を吐く余裕すらない。後退しながら着地した鋼の背後から、隼人の回し蹴りが襲いかかった。だが、鋼は一瞬だけ聞こえたなにかが弾ける音を聞き、知覚する前に頭を伏せた。伏せた頭上で薙がれる雷を纏った脚。隼人の攻撃を紙一重でかわしながら、鋼は冷や汗ダラダラだった。


(少しは手加減しろよ!)


 なんて、心の中で叫んでみても、『雷帝』と化した隼人には聞こえるはずもない。肉体活性隼人の動きは、最早人間の範疇を逸脱して余りある。音速にも匹敵するか否かのスピードで迫る攻撃を、鋼は長年の勘と、今までに掴んだ隼人の癖、そしてチリチリと聞こえる雷の音を頼りにしてかわしていた。
 しかし、それは長くは続かず、気づいたときには隼人の雷を纏った手刀が鋼の首筋に添えられていた。



「ゲームセット、だね」


「参りましたー……」


 笑みを浮かべて勝利宣言をする親友に、鋼は苦笑いで敗北を認めた。




















                   ☆☆☆




「それにしても……相変わらずのチートだよね隼人は」


「まあ、『九十九家』はみんなチートだしねえ」


「隼人はその筆頭だろ」


 まるで他人事のように流した隼人にツッコミを入れてから鋼は溜め息を吐き出した。


「全く、隼人といると自信をなくすよ」


「なーに言ってんの。『雷帝』を相手に一分間保つ人なんてそうそういないよ。てか、いてたまるか。それに、こんな力や能力に恵まれた条件の俺が、鋼に負けるのは万死に値するからね」


「誉められてんのか、貶されてんのか……」


 複雑な表情を浮かべた鋼に隼人は声をたてて笑った。


「アハハ。勿論、誉めてるよ。鋼は俺にとって『親友』であり『好敵手(ライバル)』だ。今は俺が鋼より先にいるけど、いつか君が追いついてくると俺は思ってる。だったら、俺は更にその高みへ行く。フフ、いつまでも追いかけてきなよ。俺は、鋼が追いかけてくるから高みへ昇っていけるんだからね」


「フン、油断してると一瞬で追い抜くからな」


「だったら、その倍の速さで俺は再び追い抜くよ」


 そう言って、声を立てずに二人は笑った。その口元には穏やかな笑みを。その瞳には、確かな闘志を宿して。































――to be continued――
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