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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第二十三話 闇を制する者
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回の一件、お互いに闇の組織を動かしての対決になったということだろう。お互いに必死という事だ、俺達の知らないところで互いの存続を賭けて戦っている。そしてエーリッヒが勝利を収めつつある……。

試されている、また思った。エーリッヒは俺達を誘っている、ここまで来い、追い付いて来い、帝国の奥深い闇を覗きに来い、そう誘っている。追い付けるだろうか……、今回の捜査で何かが見えてくるかもしれない。いや見なければならないだろう、国家安全保障庁の長官として……。



帝国暦 489年 6月10日   アムリッツア  ヴィルヘルム・カーン



トントンと親っさんの執務室のドアをノックすると部屋の中から“どうぞ”と声が聞こえた。“失礼します”と声をかけてドアを開け中に入る。親っさんは長期航海の準備をしているところだった。俺を見て微かに笑みを浮かべる。うむ、機嫌は悪くなさそうだ。

「オーディンから引き上げが完了しました。この三日間、それぞれバラバラに輸送船に乗せています。行き先も別ですから国家安全保障庁も憲兵隊も彼らがウチの手のものだとは気付かんでしょう」
「結構」
言葉は短いが声も表情も明るい、満足しているのだろう。

「次に連中をオーディンに送るのは何時頃とお考えで……」
「最低でも一年は先でしょう。それに人も代えてください。今回のメンバーは誰も使わない」
「……」
随分と用心している。一年先、しかも人を代えるか……、一からとなれば効率は悪くなるが……。

俺が沈黙していると親っさんがクスッと笑った。
「爺さんは不満そうだ」
「そうじゃありません、ただ随分と用心していると思いましたんで……。私は半年くらいで人を送ろうかと考えていたんですが……」

今度は首を横に振った、完全に不同意だな。再考の余地が有るなら首を傾げる。
「今回の事件が一段落するのに半年くらいかかると私は見ています」
「そんなにかかりますか」
「ええ、そしてその頃から国家安全保障庁、憲兵隊、そして地球教、フェザーン、皆ウチの組織を探る事に力を入れるはずです。特に今回陰謀を突き止めた組織を」
「なるほど……」

親っさんはこの事件がでかくなると見ている。まあ帝国最大の実力者である金髪を殺そうとしたんだ、でかい事件で有るのは間違いないが、こりゃ他にも何かあるな。考えられる事はフェザーンか……。フェザーンと地球の関係は単純に殺しを請け負った、そんなもんじゃねえと見ているようだ。

「暫くはオーディンの海賊屋敷に監視は付けられませんが……」
「構いません、彼らも自分達とは別の組織が動いたと分かっているはずです。今一番緊張と危機感を持っているのはリスナー達でしょう」
「まあそうですな」
フレーベルの調べた情報は親っさんからリスナーに送られた。リス
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