第三話「僕には分からない、エロの良さが……」
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教室に入った僕はイッセーを見つけると、いつものように背中に飛び乗ろうとするが、何やら難しい顔で考えている様子を見てやっぱり止めた。
「どうしたの?」
「あ、レイ! 聞いてくれよ!」
ふむふむ。松田や元浜に天野夕麻ちゃんのことを聞いても、そんな子は知らないと。しまいには幻覚でも見ていたんじゃないかって言われたと。うう、そうまで信じてもらえないと、なんだかイッセーが可愛そうに思えてきた。ヨヨヨ、不憫な子……。
「だから、俺らはそんな子紹介されていないって。第一そんな子この学校にいないだろ?」
「そもそもイッセーに彼女が出来るなんてありえん。まだ幻覚の類いの方が信憑性がある」
うーん、どうやら記憶が消されているみたいだ。天野夕麻ちゃんって昨日イッセーを殺しかけた堕天使だよね。なら記憶を消せても可笑しくないかな。そういう魔法もあるし。
「なあ、レイは覚えてるよな?」
イッセーが聞いてくる。どうしようかな、取り合えずここは周りに合わせておくとするか。
「んー、僕も知らないなぁ。夢でも見てたんじゃない?」
首を傾げてそう言うとイッセーは目に見えて肩を落とした。
「夢、夢かなぁ……。今朝は夕麻ちゃんに殺される夢なんて見るし、はぁ……」
「殺される夢?」
「ああ……夕麻ちゃんとデートしてたんだけど、最後に公園で殺されるんだ」
「彼女に殺されるとか、それどんなヤンデレだよ」
「あれ、イッセーってヤンデレ属性だっけ?」
「違うわ! 俺にそんな趣味はないわっ」
あー、やっぱり覚えていたか。混乱しているだけならまだしも、変なこと考えなければいいけど。
松田がイッセーの肩に手を置き、仏のような優しさを滲ませて言った。
「まあ、なんだ。疲れてるんだよお前は。俺もおっぱい欠乏症に罹った時は周りの人がみんなおっぱいに見えたものだ。あれは辛いぞ。男もみんなおっぱいに見えるからな」
「ああ、あれは地獄だな。なにが悲しくて男の胸を揉まなければならんのだ」
その苦しみが理解できるのか、元浜が重々しく頷いていた。ちょっと僕には理解できないかなぁ。彼らの思考は高次元にあると思う。ていうか、おっぱい欠乏症ってなに? そんな病気があるの?
「今日は俺の家に寄れ。秘蔵のコレクションをみんなで見ようじゃないか」
「おお、それは素晴らしい考えですな松田くん。是非ともイッセーくんも連れていくべきだよ」
「もちろんだとも元浜くん。俺らの動力はエロだぜ? エロくなきゃ俺たちに何が残るってんだ。それに、これで復活しなきゃエロの権化の名が泣くってものよ」
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