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星河の覇皇
第四部第四章 楯砕きその三
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「彼が何かを得るのに容易い場所であるとか」
「そういえば」
 シャイターンはここで北方諸国の危機を救いここでの支持を得た。そして北方で最も力のあると言われるハルーク家に入った。そして今回の侵攻だ。彼はまるで北方に何かを築こうとしているかのようである。
「もし彼に野心があるとすれば北方は格好の場所でした」
 八条は考える顔をしたまま言った。
「そして今彼は北方どころかサハラでもとりわけ人気のある存在になろうとしている」
 そうであった。二回の戦いの勝利とハルーク家との結び付きにより彼はサハラでも有数の権勢と評価を手に入れたのである。
「それにより彼はそれ以上のものを目指す地盤を手に入れることができるでしょう」
「それ以上のものといいますと」
 マクレーンが問うた。
「例えばですが」
 八条はそれに対してこう前置きしたうえで言った。
「サハラを統一しその元首になるとか」
「まさか」
 劉はそれを聞いて思わず苦笑した。
「あのサハラが統一される筈がありませんよ」
「そうですね、私も劉大将と同じ考えです」
 マクレーンもそれに同意した。
「何故そう言えるのですか?」
 八条はそんな彼等に対して問うた。
「一千年もの間分裂し互いに争ってきた者達ですよ、今更統一なぞ」
「そうです、そんなことは神にだってできません」
 二人はそれを頭から否定した。だが八条は違っていた。
「あながちそうとは言えませんよ」
 彼は二人に対してこう言った。
「何故ですか」
 二人はそんな彼に尋ねた。
「我々にしろ多くの国家の集合体ではないですか」
「それはそうですが」
 それは否定できなかった。連合は中央政府こそあるものの百以上の国家がその中にある。そしてそのそれぞれが自治権及び連合内での外交権を持っているのだ。今まではそれぞれの国家が軍を持っていた程である。
 かっての国際連合と似たような部分が色濃くあった。その為国家としての統制は弱く国家連合に近い面があった。エウロパと比べてもそこは大きく遅れをとっていたのだ。
 それから次第に権限を中央政府に集めようという考えが実際に行動に移されたのは二〇〇年程前からであった。それまでは中央政府は構成国の貿易や開発の保証、利害調整等経済面、貿易面でも行動のみであったのだ。
 外交はエウロパとは敵対関係にありマウリアとは友好関係にあった。この二国との関係のみでありそれ程重要ではなかった。サハラ各国とは何処か疎遠であった。
「それが変わったのもつい最近です」
 八条は二人に言った。彼等はそれに反論することができなかった。
「我々もそうでした。彼等ももしかすると、ということがあります」
「そうでしょうか」
 しかし二人はまだ懐疑的であった。
「あれ程激しい戦乱が続いていたというのに
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