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星河の覇皇
第三部第四章 命運は決するその三
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ラの他の国々の場合はそうした国は滅ぶか新領土を手に入れた時点で変わったのでそうしたことはなかった。サラーフ独特の問題であった。
「それがナベツーラの様な輩を跳梁させてしまうことになるとはな」
「マスメディアの恐ろしいところですね」
 コリームアは言った。
「ああ。、情報を独占し時には捏造する。かつてそれにより多くの悲劇が起こった」
 その為マスメディアに対して懐疑的な者も多いのがこの時代の人々である。
「ネット等の普及によりそれは大分抑えられるようにはなりましたが」
「ネット等がない場合には繰り返される、か」
 アッディーンは噛み締めるようにして言った。
「はい、人間というのはやはり繰り返してしまいます」
「それも歴史か」
 アッディーンはそれを聞いて司令室の椅子に座った。彼等は今旗艦アリーの中にいる。オーレフに向かう途中である。
「残念ながらそうですね」
 コリームアは答えた。
「今回のこのサラーフのマスコミの行動もそうです。こうした自らが権力を維持する為に自国の者を陥れるということは何度も見られました」
「それにより国が潰れたことも」
 アッディーンは言葉を返した。
「そうですね」
 コリームアはそれを聞いて表情を暗くした。
「それを行なう連中はいつもそれがわかっていない。不思議なことだな」
「それも人間です。自分のことは案外目に入らないものなのです」
「そうだな。俺もそれはわかっているつもりだ」
 アッディーンはそれを聞いて席を立った。
「皆俺をやれ若き名将だオムダーマンの獅子だの呼ぶがな」
「名誉なことではないですか」
「確かにな。他の者はそう言うだろう」
 アッディーンはコリームアを横目で見ながら言った。
「だが俺はその時にどう戦えばいいか、それを考え動いているに過ぎない。確かに勝つ自信は常にある」
「それだけで充分だと思いますが」
「それはそうだ。だが俺は戦いに勝ちたいが別にそうした名声にはあまり興味がない」
「意外ですね」
 コリームアはそれを聞いて思わず目を丸くさせた。
「軍人になりたくて幼年学校に入った。そしてすぐに戦場に行きたいから士官学校には進まずにそのまま軍人になったのだがな。知らなかったか」
「いえ、幼年学校を出てすぐに軍に入られたのは知っていましたが」
 コリームアは答えた。これはオムダーマンの軍人では珍しいことであった。
 普通幼年学校から士官学校へ進む。それから少尉に任官して軍役に就くのだ。
 幼年学校からだと准尉からはじまる。そしてその昇進もやはり士官学校卒業者よりは遅い。
「それでもよかった。とにかく戦場に行きたかったのだ」
「何故ですか?」
 変わっていると言えば変わっている。自ら死地に赴きたいとは。それが軍人の務めだとしても。
「幼い頃から
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