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星河の覇皇
第八部第四章 総動員令その三
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場合は徐々に内地へ誘い込むか」
「市民を避難させながら。そして敵を少しずつ減らしながらオリンポスの前で決戦を挑みましょう」
「勝たねばならん。それはわかっていると思う」
「無論です」
 彼は頷いた。
「その為に今ここにいるのですから」
「よし」
 シュヴァルツブルグもそれを聴いて頷いた。
「勝つぞ。それだけは頼む」
「はい」
 こうして二人の会談も終わった。それからも彼等の激務は続いた。そしてエウロパにおいて遂に総動員令が発動された。これによりエウロパは本格的に戦時体制に入ったのであった。

「そうか、エウロパがか」
 それはすぐに連合にも伝わった。キロモトはそれを昼食の場において聞いた。
「近いうちにくると思ったが」
「左様ですか」
 話を伝えた大統領府のスタッフは意外といった顔でそれに応えた。
「うむ。彼等も必死だ。ましてや我々とは国力差がある」
「はい」
「それを考えると充分考えられる話だ。まあ我々がそれを行う必要はないが」
「我々は総動員令を発する必要はないと」
「私はそう考える」
 彼はそう答えてフォークを置いた。見ればシーフードとトマトソースのスパゲティを食べている。パスタは連合においても比較的よく食べられるポピュラーな料理である。スパゲティだけでなくマカロニやフェットチーネ、ラザニア等もよく食べられる。そのソースは国によって違いかなりのレパートリーがある。
「これは彼等を侮っているのではない。国力を考えるとだ。市民は今まで通り普通の生活を送れることを約束する」
「はい」
「そして将兵達には無事に故郷に帰られることも約束しておこうか」
「わかりました」
 これは戦争が既に決まっていることを意味していた。だがこれは非公式の場でありキロモトとスタッフの他には誰もいないので知られることはなかった。
「少なくともスパゲティを普通に食べることはできる」
 ここでフォークを再び手にした。
「はい」
「ただ軍は第一種警戒態勢を続けるように。よいな」
「わかりました」
 これは至極当然のことであった。戦争に突入する寸前であるからだ。
「それ以外はこれといって戦争のことを気にかけることはないと思う。産業においてはな」
「はい」
「我々は戦争だけをしているわけではない。それはわかっていると思う」
「無論です」
「それならばだ。産業活動はこれまで通りでよい。軍需産業が動いて活性化しているようだしな」
 今連合では好景気となっている。軍需産業が動き他の産業にまで影響しているのだ。産業は生物であり互いにリンクしているからこそであった。
「あとは兵士達の安全だけだな」
「そうですね。それは八条長官が考えておられます」
「それについて彼と話がしたいが」
 ここでスパゲティを食べ終えた。そして
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