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蒼き夢の果てに
第4章 聖痕
第48話 クーデターの夜
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化される牛頭人。

 しかし、そんな事は委細構わず、上半身に溜めこまれた力を、其処から更に右足をすり足状に踏み込む際に、破邪の宝刀を振り抜いた。

 その瞬間、俺の霊気の高まりに反応した七星の宝刀が、爆発的に蒼白き光りを放つ!

 刹那、後方より接近していた牛頭人の上半身が僅かにぶれ、次の瞬間、赤き生命の証を噴出しながら倒れ込んだ。
 その勢いを使って半回転。その際、雷公召喚法を使用したタバサの蒼の瞳を見つめる。

 しかし!
 ほぼ一瞬の内に二体の味方を俺とタバサに倒された事をものともせずに、残った一体の牛頭人が迫る!

 対して俺の方は未だ回転の途中。その俺の右側を走り抜ける蒼き影。その瞬間、二人の間の宙を舞う七星の宝刀。
 その宝刀を中空にて掴む蒼き姫。

 俺の七星の宝刀を右手に、半身に構えし姿は俺と同じ。
 淡い燐光に包まれしタバサが、彼女の五行を示す黒曜石の輝きを放つ宝刀を振り抜いた。

 そして、次の瞬間。首の辺りからズレ落ち、周囲に赤黒き色を着けながら倒れ込んで行く牛頭人。


 最後の一体を無力化した後に、ようやく、その場で大きく息を吐く時間を得た俺。同時に、タバサが手にした七星の宝刀を、元の如意宝珠の姿へと戻す。但し、ここで行えるのは其処まで。
 未だ、イザベラの部屋の前までのルートが確保されただけ。これで、すべてが終わった訳では有りませんから。

「シャルル副長を排除したのですか」

 こう言う場面でしか登場しないのか、ジョルジュ・ド・モーリエンヌが、軍杖に付いた赤黒き液体を軽く振る事によって振り払いながら、そう問い掛けて来た。
 但し、視線はこちらを向けては居ますが、彼自身の足はイザベラの部屋に向かって歩みを止めず。

 つまり、ヤツも目的は同じと言う事。そして、ここに北花壇騎士団所属のジョルジュが現れたと言う事は、この騒ぎはガリアに取っては予想された事態だった、……と言う事なのでしょう。

「東薔薇騎士団が現王家に対して、内乱を企てる計画を立てていた事は掴んでいました」

 俺が問い掛ける前に、イザベラの部屋の扉を開きながら、そう種明かしを行うジョルジュ。

 しかし、それでは、タバサの方には俺が付いて居て、引き離す事はかなり難しいとは思いますが、もう一人の方。イザベラの身に対する守りがどう考えても薄すぎると思うのですが。

 元々、東薔薇騎士団がクーデターを起こす予想が立っていたのなら……。
 仮にも、彼女はガリアの王女。サリカ法が有るから直接の王位の継承権は持っていませんが、それでも、次のガリアの王位は、彼女の良人となる男系男子の系譜を継ぐ男性貴族と成るのでしょう。

 そんな人間が、ここで生命を失ったとしたら……。

「イザベラ姫は言っていまし
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