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星河の覇皇
第六部第四章 ゲリラその二
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 連合の首都地球に近い日本の播磨星系の惑星の一つ神戸に彼等はいた。
 この星系は日本の中では重工業及び商業で知られている。各国の船や人が行き交い、そして工場から活気が聞こえてくる。そうした賑やかな星系であった。その繁栄は日本においては美原星系に次ぐものであった。
 その中で神戸はこの星系に複数ある人の居住している星の中では商業都市として有名であった。連合でも屈指の交易都市であり、多くの企業の本社もここにある。
 その中には山口の会社である『ニアー=オリエント社』もある。表向きは厚生や金融を取り扱っている企業だがその実は闇金である。
 社員は暴力団出身かそれに近い者が多い。山口自身もその経歴は胡散臭いものだという噂がある。
 今そこに入ろうとする男がいた。白髪に異様に醜悪な顔をしている。人のものとは思えない。まるで仮面劇の悪役の仮面の様な顔だ。警衛の柄の悪い男が彼に頭を下げる。
「うむ」
 彼はそれをふんぞりかえって受ける。そしてビルの中に入っていく。
 エレベーターを使い上にあがる。そして最上階に来た。
「ようこそ」
 いきなり銃で武装した男達に呼び止められた。
「山口さんはいるか」
 男は彼等に問うた。
「はい。お待ちしております」
 彼等はそれに答えた。男はそれを受けると彼等に言った。
「よし、じゃあ案内しろ」
「はい」
 そして武装した男達に案内されて社長室に来た。武装した男の一人がそのドアを開ける。
「ネゴロツキー弁護士が来られました」
「おう」
 中から男の声が気負えてきた。
「お通ししろ」
「わかりました」
 男はそれを受けて来訪者、すなわちネゴロツキーに顔を向けて言った。
「どうぞ」
「おお」
 彼はそれに鷹揚に頷き部屋の中に入った。そこは下品に装飾された執務室であった。
 悪趣味な部屋であった。やたらと金で飾り置かれている彫刻も裸婦の淫らな格好のものばかりでおよそ品性とは無縁であった。おまけに後ろにはヌードポスターまで貼られている。女性が見たらすぐに胸を悪くしそうな部屋であった。
 その奥にある金で作られた机に彼はいた。言わずと知れた山口である。
「来てくれたか、久し振りだな」
「地球はどうだった」 
 ネゴロツキーは彼に尋ねた。
「おう、まあまあといったところだな」
「そうか」
「ただ田代から連絡があってな」
「何と言っていた?」
 彼はそれに尋ねた。
「連合軍は安心して任せろといったことを言っていたな。今までと変わりがないと」
「だといいのだがな。今までの討伐軍と同じだと」
「ああ。どうやら八条は本気なようだからな。百個艦隊を差し向けるらしいぞ」
「海賊相手に百個艦隊か」
 エウロパの全艦隊に匹敵する戦力である。それを海賊討伐に使うなぞ前代未聞であった。
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