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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始前
第三話「真祖」
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から、そんなこと言うの……?」


 お母さんは何も言わず、私にあるものを差し出した。


「……これは?」


「これはお守りよ。ロザリオとチョーカーを繋ぎ合わせたもので、私が作ったの。きっと、あなたのあなたの力になってくれるわ」


 それは黒いチョーカーに銀のロザリオを鎖でつないだものだった。


「でも、これだけは信じて。私はあなたを一度も嫌ったことも邪魔だとも思ったことは無いわ。私はあなたに普通の女の子として幸せになって欲しい……。だから、今はお別れをするしかのないの。いつか全部を話せる日が来るまで、今は何も聞かないで」


 そう言って私の手を握るお母さん。


 信じたかった。だけど、姉さんのことや地下の真祖のこと、さらにはお母さんに家を出るように言われたことで、私の頭はすでに一杯一杯だった。


 ――だから、私はお母さんの手を振りほどいてしまった。


「萌香……!」


 居た堪れなくなって走り出す。今は何も考えたくなかった。


「待ちなさい、萌香!」


 だから、背後から聞こえてきた声がどこか泣きそうな声をしていたなんて、この時の私は思いもよらなかった。


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