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Fate/stay night -the last fencer-
第一部
出会いし運命の少女
運命の夜、閉幕
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 こちらの動きや攻撃手段も徐々に学習されるだろうことを鑑みれば、この鉄壁の巨人との戦闘を長引かせるのは得策ではない。

 だが短期決戦に持ち込もうにも、その頑強さゆえに勝機すら見出せないのが現状だ。

 今のところ、唯一有効な攻撃手段を持つのはフェンサー。
 セイバーやアーチャーにも巨人に通じる攻撃手段はあるだろうが、それが彼らにとっての切り札ならば、こんな序盤戦で開帳するのは本意ではないはずだ。

 どうしたものかと思案する中、もっとも正しいと思われる意見を述べたのは、意外にも士郎だった。

「なぁ、ここは一時的にでも撤退したほうがよくないか?」
「まだ逃げてなかったの? て今はそんなこと言ってる場合じゃないか…………
 そうね。戦況も悪ければ場所も悪い。アレとやりあうなら、それなりの下準備と場所選びが必要だわ」
「加えてまだ戦争は始まったばかりだ。お互い、ここで手の内晒しまくるわけにもいかねえもんな」

 マスターの意見は満場一致だが、不服そうなサーヴァントたち。

「反対ですシロウ、敵に背を向けるなどと。それに背中を見せてそう易々と逃がしてくれる相手とも思えません」
「まあ退却するにしても一度相手を行動不能にするか、誰か殿を残さないと追いつかれるでしょうね」

 溶けたアスファルトさえ踏み越えて進撃してくるバーサーカーを迎え撃ちながら、二人のサーヴァントは意見を述べる。

 彼女らの意見は実に正しいのだが、そうなると誰か一人は切り札級の技を見せないといけないわけで。

 思惑を理解しているであろう凛と目配せをしながら『おまえやれよ』『あんたやりなさいよ』なんて目だけで話し合う。
 息を呑みながらサーヴァントの戦いを見つめる士郎は、逃げるなんて言っておきながらその方法なんて考えちゃいない。

「少なくとも場所は変えようぜ。向こうが追ってきてくれるなら、こっちにとっちゃ好都合だろ」
「セイバー、いけるか?」
「それではここより少し離れた場所にある墓地へ。あの場所なら、地の利を活かすことが出来る」
「OK、それじゃ…………」

 再び凛とのアイコンタクト。

 魔術回路をフル回転させ、魔力を共振増幅しながら機会を待つ。

(フェンサー、次、いけるか?)
(いいわ、いつでも)

 打ち合うセイバーとバーサーカーの間合いを計りながら、それが一番有利な距離となった瞬間────

「今よ、アーチャー……!!」

 降り注ぐ銀光。

 今度の矢砲は尽きることなく、絶え間なくバーサーカーへと打ち付ける。
 流星群のようなそれは美しいとも形容できる有様だが、それら全ては急所と関節部を狙った死の雨だ。

Shadow(黒き者よ), Ash to Ash(灰より出でて)
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