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SAO─戦士達の物語
GGO編
八十二話 涼人の逃避行
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って生徒会長にあるまじき行為だが、同じく全力で逃げる会計を捕まえるためにはやむなしだ。
いま、前方の桐ヶ谷涼人は、ソックスで走っている。と言うのも先程、彼に一度振り切られてしまったたも昇降口に行くことを許してしまったのだ。お陰で外履きを取り出されてしまったのだが……履き替えるよりも早く昇降口に待機していたもう一人の会計が涼人を発見し、慌てて校舎内に戻った所を杏奈と鉢合わせになり、これである。

そして……

「はぁっ、はぁっ……こ、此処までのようね……」
「ぜー、ぜー……し、しつけえぞお前……」
此処は校舎二階。廊下の奥であり、周囲は教室ばかりの……行き止まりである。

「さ、さぁ、一緒に生徒会室に行くわよ……桐ヶ谷くん……」
勝った。と、杏奈は思った。こうなってしまえば、最早涼人に逃亡手段はない。流石に彼も、女性に暴力を振るってまで逃亡しようとするほど粗雑で無いことは、この数ヶ月で彼女も知っている……

駄菓子菓子

「く、くくく……くくくくく」
「な、何が可笑しいの!?」
この状況に追い込まれてなお、桐ヶ谷涼人は笑った。
何処か含むようなその笑い方は、否応なく杏奈の不安を煽る……

「クックック……教えてやるぜ生徒会長。終わりだと油断した時が一番アブねぇってことをなぁ!」
「な、なにを!?っ!?」
突如、涼人は駆け出す。それも、側面の教室の扉に向かって、だ。そして涼人は……その中へと入り込んだではないか!?

『そんなっ!?こんな校舎の端っこに開いている教室なんて……あっ!?』
違う!「校舎の端」と言う静かな環境だからこそ、何時でも開いている教室が有るのだ!

[自習室]
涼人が飛び込んだ教室の扉の上には、確かにそう書かれていた。
そして杏奈がその教室に飛び込んだ時には、もう何もかもが手遅れだった。

「さらばっ!」
「あぁっ!?」
涼人の体が、教室の大きな窓から外へ消える。
慌てて窓の外に首を出すと、其処には此方を見上げて嫌みな笑みを浮かべている男が一人。

「はっはぁ!俺の方が一枚上手だったな風巻!」
「む、くぅ〜……!」
一瞬自分も飛び降りようかと思案するが、すぐに諦める。
自分は外履きを持って居ないし、生徒会長だ。(まあ逃げた相手も生徒会だが)何より……

『あ〜っ!なんで二階なのにこんなに高いのよぉ〜〜!!』
風巻杏奈は少々高所恐怖症なのだ。
そうこう思っている間に、涼人は外履きに履き替え、杏奈に向けてニヤリと笑う。

「んじゃ会長、また明日〜」
「あっ、ちょっ!?桐ヶ谷くん!待てこの不良会計士ィ!!」
「あーばよーっと!」
仕事サボって勝ち誇り、後ろ手に手を振りながら逃げ去る男子。
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